磁気ディスク装置(読み)じきでぃすくそうち(英語表記)magnetic disk drive

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

磁気ディスク装置
じきでぃすくそうち
magnetic disk drive

磁気記録媒体を表面に付着させたディスク(円盤)に電子情報を同心円状に記憶させる記憶装置磁気ディスクには硬いプラスチックやアルミ基板などの金属のものと、柔軟なプラスチックフィルム基板のものがある。前者は、その硬さ(ハード)からハードディスク(HD)、後者は、はためくような(フロッピー)しなやかさからフロッピーディスク(FD)とよぶ。これらを用いた記憶装置をそれぞれハードディスクドライブ(HDD)、フロッピーディスクドライブ(FDD)とよぶ。
 いずれも磁気記録装置からコンピュータ用に進化したもので、磁気膜に磁気ヘッドを用いて情報を読み書きするのが基本である。音声・映像の場合は単位時間に要求される処理量はある程度で十分とされるが、コンピュータの場合は多ければ多いほど望ましい。このため、磁気ディスク装置では、ディスクや磁気ヘッドの材料・構造にくふうが重ねられている。記録媒体としてアナログ記録に用いられた磁性体粉末は約0.5マイクロメートル大の酸化鉄、クロム酸化物などであるが、ハードディスクでは基板の上にクロム系合金の下地層、その上に厚さ20ナノメートルのコバルトクロム白金などの合金による記録層を重ね、カーボンの保護膜で覆った多層構造をスパッタリング(物質原子を気体中に飛散させて付着させる方式)処理技術により可能にし、高速高密度化を達成している。平方インチ当りの面記録密度は、初期は1メガ(100万)ビットであったが、2010年には1テラ(1兆)ビットを超えるまでになっている。さらに、1975年(昭和50)に、東北大学教授(当時)の岩崎俊一(1926― )が提唱した垂直磁気記録技術の実用化も進んでいる。
 これら微細化したビット情報を誤りなく読み書きする磁気ヘッドにもくふうが進められた。アナログ時代にはMIGヘッド(Metal In Gap head:ギャップ内金属ヘッド)や薄膜ヘッドが用いられたが、1988年に発見されたGMR(Giant Magneto-Resistive:巨大磁気抵抗)効果を利用した平方インチ当り86ギガ(10億)ビットの読み書きが可能なGMRヘッドが製品化されるようになった。さらに、1975年に発見された現象を用いて21世紀初めから開発が進むTMRヘッド(Tunneling Magneto Resistive head:トンネル磁気抵抗ヘッド)は、150ギガビットとGMRヘッドより感度は高く、ハードディスク用磁気ヘッドの主流になっている。[岩田倫典]
『岡村博司・服部正勝編著『改訂 ハード・ディスク装置の構造と応用――記録/再生の原理とメカニズム&インターフェース』(2010・CQ出版) ▽東北大学金属材料研究所編著『金属材料の最前線――近未来を拓くキー・テクノロジー』(講談社・ブルーバックス)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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