神物(読み)しんもつ

精選版 日本国語大辞典 「神物」の意味・読み・例文・類語

しん‐もつ【神物】

〘名〙 (「じんもつ」とも)
① 神の所有する物。仏物・人物などと区別される。また、神に供える物。台・瓶子(へいじ)灯明衣服・沓・扇・櫛の類。
御堂関白記‐長和元年(1012)一一月二二日「西辺立八足二脚、置神服等、欲神物間」
② 霊妙なもの。しんぶつ。
※正法眼蔵(1231‐53)行持「法高徳重のゆゑに神物倐見(しゅくげん)して、祖にかたりていふ」
③ 神と衆生
※十善法語(1775)五「神人一体のなかその冥助のあらはるる。神物不二のなかにその徳そなはる」

しん‐ぶつ【神物】

〘名〙 神妙不可思議な物。霊妙な物。しんもつ。
町人嚢(1692)四「夫(それ)人間陰陽五行の神物(シンブツ)なり」
読本南総里見八犬伝(1814‐42)八「件の数珠は〈略〉感得の神物にて」 〔易経‐繋辞上〕

かみ‐もの【神物】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「神物」の意味・読み・例文・類語

かみ‐もの【神物】

神能かみのう」に同じ。

しん‐もつ【神物】

《「じんもつ」とも》
神事に使う道具類。また、神に供える物。
霊妙なもの。しんぶつ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「神物」の読み・字形・画数・意味

【神物】しんぶつ

神異なもの。〔淮南子、覧冥訓〕昔、師曠(晋の楽師)、白を奏して、物之れが爲に下し、風雨暴(には)かに至り、(晋の)(りうへい)し、晉國赤地(旱魃)となれり。

字通「神」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の神物の言及

【祠堂銭】より

…そこに祠堂銭の特徴があった。一般に寺社が金融・貸付けする米銭は,神物あるいは仏物,寺物と呼ばれ,単なる米銭ではなく,〈神あるいは仏の物としての米銭〉として濃く宗教性を帯びていたので,その神や仏の力が債務者に返済義務厳守を強く促すものであった。中でも祠堂銭は,冥界の死者と結びついたものとして,その仏物的性格がより具体的に強められたものといえよう。…

※「神物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android