大黒(読み)ダイコク

百科事典マイペディアの解説

大黒【だいこく】

大黒天の略。古代インドの暗黒の神,摩訶迦羅(まかから)。仏教では三面六臂(ろっぴ)異形黒色の忿怒(ふんぬ)神,戦闘神とされ,のち袋を持った姿の厨房(ちゅうぼう)神とされた。日本では平安時代から寺院の厨房にまつられ,僧侶の妻の俗称ともなった。室町時代には大国主命と同一視され,七福神の一つとなった。大黒信仰は大黒の姿を模し嘉祝の詞をのべて遊行(ゆぎょう)する大黒舞の徒が広げたもので,えびすとともに田の神としても尊崇された。江戸時代には頭に頭巾(ずきん),手に打出小槌(うちでのこづち)を持ち,米俵の上に立つ姿で表され,ネズミを配する。子祭(ねまつり)といって旧暦10月の子の日に大黒をまつり,近世町家は甲子(きのえね)の日を大黒様の縁日とした。日蓮宗ではとくに大黒天信仰が盛行。
→関連項目出雲信仰甲子田の神

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションの解説

だいこく【大黒】

鹿児島の芋焼酎。酒名は、七福神の大黒天にちなみ命名。白麹を用いて仕込み、常圧蒸留で造る。原料はコガネセンガン、米麹。アルコール度数25%。蔵元の「松崎酒造」は明治42年(1909)創業。所在地はいちき串木野市大里。

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デジタル大辞泉プラスの解説

大黒

鹿児島県、松崎酒造合名会社が製造する芋焼酎。「松崎」の「ざき」は正確には「たつさき」。

大黒

古典落語の演目のひとつ。「大黒や」とも。「大黒」は僧侶の妻を指す寺の符牒。「坊主」の別題を持つ同名作品とは別の作品。主な登場人物は、酒屋の主人。

大黒

古典落語の演目のひとつ。「坊主の妾」とも。「大黒」は僧侶の妻を指す寺の符牒。主な登場人物は、竹さん、和尚

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大辞林 第三版の解説

だいこく【大黒】

○ 「大黒天」の略。 「 -様」
僧侶の妻の通称。梵妻。 「此寺の-になりたくば、和尚のかへらるるまで待て/浮世草子・五人女 4
「大黒傘」の略。
「大黒舞」の略。

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精選版 日本国語大辞典の解説

おお‐くろ おほ‥【大黒】

(「おおぐろ」とも)
[1] 〘名〙 色がはなはだしく黒いこと。また、そのような人、物。
万葉(8C後)一六・三八四四「ぬば玉の斐太の大黒(おほぐろ)見る毎に巨勢の小黒し思ほゆるかも」
[2]
[一] 大伴家持の蒼鷹(あおたか)につけた名。
※万葉(8C後)一七・四〇一一「吾が大黒(おほぐろ)に〈大黒者蒼鷹之名也〉白塗の 鈴取り付けて」
[二] 馬の名。
源平盛衰記(14C前)三六「満政が赤六、貞任が大黒(ヲホクロ)にも劣べし共不覚」
[三] 初代長次郎作の黒楽焼茶碗。利休名物の一つ。形が大ぶりで黒色なのでいう。

だい‐こく【大黒】

※蔭凉軒日録‐永享七年(1435)九月二八日「大黒像二体、以誉阿預申」
※虎明本狂言・夷大黒(室町末‐近世初)「ひえの山の三面の大黒は、いづれの大こくよりもれいげんあらたにて」
[2] 〘名〙
① 僧侶の妻。梵妻。大黒天は、元来厨(くりや)にまつられた神であるところから、寺院の飯たき女をいい、また、私妾や妻をもいうようになったという。また、世をはばかって厨だけにいて、世間に出さないからとも、大黒天の甲子祭から、子(寝)祭とのしゃれからともいう。
※歌謡・閑吟集(1518)「よべのよばひ男、たそれたもれ、ごきかごにけつまづゐて、大黒ふみのく」
浮世草子・傾城禁短気(1711)二「されば世間の人口をいとひ給ふ、歴々のお寺方の大黒(ダイコク)は、若衆髪に中剃して、男の声づかひを習ひ」
雑俳柳多留‐九(1774)「傘でさへ大こくはふとってう」
③ 江戸浅草の一二月二七日の歳の市で売られた木彫りの大黒天の像。うまく盗み、持ち帰れば幸運が得られるとされた。
※雑俳・柳多留‐二四(1791)「大黒はぬすんでばちにならぬもの」
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一一「大こくも恵方からくりゃ安く見へ」

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世界大百科事典内の大黒の言及

【インド神話】より

…彼はまた舞踊の創始者とされ,ナタラージャ(〈踊り手の王〉の意)と呼ばれる。さらに,世界を破壊するときに,恐ろしい黒い姿をとるので,マハーカーラMahākāla(大黒)と呼ばれる。彼はまたパシュパティ(獣主)とも呼ばれるので,後にパーシュパタ(獣主派)というシバ教の一派が形成された。…

【シバ】より

…ブラフマーが世界創造神,ビシュヌが世界を維持する神であるのに対し,シバは世界破壊神である。世界を破壊するときに恐ろしい黒い姿で現れるので,マハーカーラMahākāla(大黒)と呼ばれる。その他の場合も破壊神としてのイメージが強く,金・銀・鉄でできた悪魔の三つの都市(トリプラ)を一矢で貫いて焼き尽くしたので,〈三都破壊者〉と呼ばれる。…

【耳】より

…各地に出土する埴輪には耳環はあるが耳介は決して大きくはない。しかし,聖徳太子像はみごとな福耳を示しているし,江戸時代にその信仰が盛んになった恵比寿,大黒,福助の像も豊かな耳朶を強調している。逆に耳朶が小さく流れているのは俗に〈貧乏耳〉といわれるが,これらの考え方は日本古来というよりも,先に述べたような仏教や古代中国思想が根づいたものと思われる。…

【留守神】より

…神無月(かんなづき)(旧暦10月)には,日本中の神々が出雲の出雲大社に集まるという伝えが平安時代からあるが,そのとき留守居をするという神がある。一般には,オカマサマあるいは荒神(こうじん),恵比須,大黒,亥子(いのこ)の神を留守神としているところが多く,これらの神は,家屋に定着した家の神である点で共通する。武蔵の総社である六所明神(大国魂神社)や信濃の諏訪明神(諏訪大社)など,各地の大社には,神の本体が蛇なので出雲に行かないという伝えがある。…

※「大黒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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