私教類聚(読み)しきょうるいじゅう

精選版 日本国語大辞典 「私教類聚」の意味・読み・例文・類語

しきょうるいじゅうシケウルイジュウ【私教類聚】

  1. 日本最古の教訓書。五〇巻。吉備真備(きびのまきび)著。神護景雲三年(七六九)頃成立。子孫を戒めるために書かれたもので、「論語」「史記」などの漢籍を引く。伝本はなく、要目だけが「拾芥抄」に見られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「私教類聚」の意味・わかりやすい解説

私教類聚 (しきょうるいじゅう)

吉備真備きびのまきび)の著書。逸書であるが,目録38ヵ条が《拾芥抄》に引用されて残っている。その内容は教訓書で,儒教仏教を重んじ,道教,仙道をしりぞけている。吉備真備の著か否か疑う説もあるが,すでに平安後期の《政事要略》に6ヵ条の引用が見える。滝川政次郎は,これと中国北斉の顔之推(がんしすい)の著《顔氏家訓》と比較研究し,同書が《私教類聚》に影響を及ぼしたとし,偽作説を排した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「私教類聚」の意味・わかりやすい解説

私教類聚
しきょうるいじゅう

奈良時代の教訓書。1巻。吉備真備(きびのまきび)が769年(神護景雲3)ごろに記したものでわが国最古の家訓と目されるが、『拾芥抄(しゅうがいしょう)』に目録がみえる以外は、『政事要略』などに逸文が残る。38条よりなり、儒仏を重んじて道教を排する姿勢がうかがえる。唐代に盛んに行われていた北斉(ほくせい)の顔之推(がんしすい)の『顔氏家訓(がんしかくん)』が随所に引用されているので、これを手本にしたことが知られる。当時の学問教育を知るうえでの貴重な文献

[大曽根章介]

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