秋田八丈(読み)あきたはちじょう

精選版 日本国語大辞典 「秋田八丈」の意味・読み・例文・類語

あきた‐はちじょう‥ハチヂャウ【秋田八丈】

  1. 〘 名詞 〙 秋田地方で産する黄八丈ハマナスの根の煎汁(せんじゅう)で染色した糸で黄色、または茶色縞柄を織り出した平織りの絹織物

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋田八丈」の意味・わかりやすい解説

秋田八丈
あきたはちじょう

秋田市で織られている平織の絹織物。秋田八丈絹ともいう。秋田藩主佐竹氏が殖産興業の一つとして秋田絹を奨励、文化(ぶんか)年間(1804~1818)には桐生(きりゅう)から蓼沼甚平(たでぬまじんぺい)を招き、ハマナスの根皮を染料とする鳶(とび)八丈をつくり、幕末には特産品として江戸、京坂に販路を拡大した。最盛期は1895年(明治28)ごろで、現在は、昭和初期以来、ただ一軒続いていた滑川(なめかわ)機操場が廃業し、技術の継承が危ぶまれている。ハマナスを主に、植物染料を使い、縞(しま)、格子に、独特の色調と地合(じあ)いに織り上げる。

[角山幸洋]

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デジタル大辞泉プラス 「秋田八丈」の解説

秋田八丈

秋田県北秋田市で生産される織物。草木染めの絹織物で「秋田絹」「秋田黄八丈」とも呼ばれ、本場の黄八丈と比較するとやや渋みのある色合い特徴製造起源江戸時代に遡る。

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世界大百科事典(旧版)内の秋田八丈の言及

【黄八丈】より

…現在ではほとんど化学染料,機械織にかわり,かつてのおもかげを伝えるものは少ない。 なお,この黄八丈のようにその土地産の染料を用い,同様の味をもつものに秋田市産の秋田八丈がある。日本海の砂浜に自生するハマナスを用いて出すとび色を主とし,黄色にはヤマツツジ,カリヤス,ヤマモモなどの植物染料が多用される。…

【草木染】より

…そのため各地方に発達した地方的な染織品には,土地特有の染料を用いたものがある。たとえば古くは加賀の梅染など,近世以降では八丈島の黄八丈に用いる椎の皮やまだみ(犬樟(いぬぐす))の樹皮,藎草(こぶなぐさ)(八丈刈安)など,また秋田八丈の玫瑰(はまなす)の根などである。沖縄ではテリハボクの近縁種の福木(ふくぎ)の樹皮から得られる強烈な黄が,紅型(びんがた)に光彩をそえる必須の染料とされる。…

※「秋田八丈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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