改訂新版 世界大百科事典 「科学研究費」の意味・わかりやすい解説
科学研究費 (かがくけんきゅうひ)
学術振興上重要な特別研究経費の一つである文部省の科学研究費補助金は,科学研究費と研究成果刊行費とからなる。科研費と略称される科学研究費は,日本の学術の振興に寄与するため優れた学術研究を格段に発展させることを目的とし,研究者個人または研究プロジェクトに対して助成される。研究成果刊行費は,日本の学術の振興と普及に資するとともに,学術の国際交流に寄与することを目的として,学術定期刊行物,学術図書,文献目録等の出版を助成するもの。科学研究費の前身は1918年文部省によって設けられた科学研究奨励金制度である。第2次大戦前は学術研究会議(1920設立)が科学研究費の配分審査を行っていたが,戦後49年からは文部大臣の諮問機関である学術審議会科学研究費分科会により行われている。審査委員については,各学会の協議に基づいて学術会議が推薦を行う。
執筆者:黒崎 勲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報