黒崎(読み)くろさき

精選版 日本国語大辞典 「黒崎」の意味・読み・例文・類語

くろ‐さき【黒崎】

  1. [ 一 ] 大阪府南西端、岬町にある岬。大阪湾に突出し、深日(ふけ)の浦とともに景勝地として知られた。
    1. [初出の実例]「きのふのごとくに、風波見えず。くろさきのまつばらをへてゆく」(出典:土左日記(935頃)承平四年二月一日)
  2. [ 二 ] 北九州市八幡西区地名長崎街道の旧宿場町。JR鹿児島本線・筑豊電鉄が通じ、小倉に次ぐ北九州市の商業中心地を形成する。

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日本歴史地名大系 「黒崎」の解説

黒崎
くろさき

[現在地名]牡鹿町鮎川浜

牡鹿半島南端の岬で、牡鹿町の小字名として黒崎山くろさきやまがある。「観蹟聞老志」に「東奥瀛をくのうみ 謂黒崎海上金華島外、或曰浦宿渡波之間也、有一島、曰之鵜島、見順徳帝叡吟中、是也」とあり、歌枕であるおくの海が黒崎の海上、金華山きんかさん付近の海をさす説もあることを記している。「義山公治家記録」の慶安二年(一六四九)九月五日条に、二代藩主忠宗が「黒崎夜籠御鹿猟」とあり、承応元年(一六五二)二月一八日条には「黒崎御夜籠責子四千人足軽四千人」、翌一九日に「黒崎ニ於テ鹿三百五十捕獲ラル」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒崎」の意味・わかりやすい解説

黒崎(福岡県)
くろさき

福岡県北九州市八幡西区(やはたにしく)にある旧宿場町。江戸時代は筑前六宿(ちくぜんむしゅく)の一つとして栄え、福岡藩の支城が置かれた。明治中期以降、小野田セメント(1980年に工場閉鎖)、安川電機黒崎窯業(ようぎょう)(現、黒崎播磨(はりま))、三菱(みつびし)化成(現、三菱ケミカル)などの工場が臨海部に立地し工業町となった。その後、JR鹿児島本線黒崎駅前に商店街が形成され、1979年(昭和54)に完成した再開発ビルによって商圏の拡大が図られ、北九州市第二の商業中心地になっている。しかし最近では、商店数が減少、集客力の低下がみられ、黒崎副都心地区再生計画が進められている。JRのほかに筑豊電気鉄道(ちくほうでんきてつどう)、国道3号が通じる。

[石黒正紀]


黒崎(長崎県)
くろさき

長崎県長崎市北西部、西彼杵半島(にしそのぎはんとう)西岸に位置する地区。旧黒崎村。江戸時代からの隠れキリシタンの村で、黒崎教会のほか、キリシタンを祀(まつ)った枯松(かれまつ)神社がある。

[編集部]


黒崎(岩手県)
くろさき

岩手県北東部、三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)の景勝地の一つ。下閉伊(しもへい)郡普代村(ふだいむら)太田名部(おおたなべ)港の南部にあり、約140メートルの絶壁をなす海岸段丘が発達する。断崖(だんがい)中腹では、オオミズナギドリクロコシジロウミツバメが繁殖し、断崖上には黒崎灯台(25万燭光(しょっこう))がある。黒崎から南方の北山崎を経て弁天崎までは三陸復興国立公園中もっとも外洋展望の美しい所である。国民宿舎、休憩舎、遊歩道が完備し、キャンプ地としても利用されている。

[川本忠平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒崎」の意味・わかりやすい解説

黒崎
くろさき

福岡県北東部,北九州市南西端,八幡西区の中心市街地。旧町域。1897年町制施行。1926年八幡市に編入。1963年小倉市,戸畑市,門司市,八幡市,若松市の 5市合体で北九州市となり八幡区に編入。1974年八幡区の分割により八幡西区に編入。洞海湾に臨み,江戸時代に長崎街道の重要な宿場町(筑前六宿の一つ),港町として発展。明治中期以降,セメント,電機,化学などの大工場が埋立地に立地し,北九州工業地域の一部を形成。1929年から鹿児島本線黒崎駅を中心に駅前商店街が発達し,第2次世界大戦後は戦災を受けた旧八幡市の中心商店街に代わって繁栄。ここを起点として直方にいたる筑豊電気鉄道の開通や西部住宅地の開発に伴ってめざましい発展を遂げた。

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世界大百科事典(旧版)内の黒崎の言及

【普代[村]】より

…人口3796(1995)。高さ100m以上の海岸段丘が発達する太平洋岸には,陸中海岸国立公園の黒崎など雄大な断崖絶壁が連続する。黒崎沖は資源の豊富な三陸漁場であり,漁業が主産業であるが,近年は養殖漁業への転換が進んでいる。…

【八幡】より

…洞海湾の南岸を占め,背後に皿倉山(622m)などの山がそびえ,西部および北東部に低い第三紀層丘陵地が起伏する。宿場町で港もあった黒崎を除いて明治中期までは寒村にすぎなかったが,1897年官営八幡製鉄所(現,新日本製鉄)の建設が着工されてから急速に発展した。製鉄所が操業を開始した1901年以後,戦争のたびごとに拡張を重ね,化学,金属加工などの関連諸工業も発達し,北九州工業地帯の中核を形成した。…

【外海[町]】より

…半島部では,農漁業が主産業であるが,労働力の流出が続き,過疎化に悩んでいる。南部の出津(しつ),黒崎地区には隠れキリシタンゆかりの集落が多く,明治初年に来日したフランス人ド・ロ神父の記念館などがある。海岸一帯は西彼杵半島県立自然公園に含まれる。…

※「黒崎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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