穴師(読み)あなし

精選版 日本国語大辞典 「穴師」の意味・読み・例文・類語

あなし【穴師】

[一] 兵庫県姫路市飾磨(しかま)区、市川河口の阿成(あなせ)付近古称で、穴師神社所属の民戸が多かったため呼ばれた。古く穴師(穴旡・穴無)郷が置かれた。
[二] 大阪府泉大津市我孫子(あびこ)付近の旧称。泉穴師神社がある。痛脚(あなし)
[三] 奈良県桜井市の地名垂仁・景行両天皇の皇居があったところ。巻向山に発し、三輪山の北を流れる痛足川(あなしがわ)巻向川)がある。痛背(あなせ)

あな‐し【穴師】

〘名〙 芝居茶屋使用人で、茶屋主人の代わりに劇場内の見物席の割り当てをする役の者。穴役。
都新聞‐明治三六年(1903)一月二九日「今の主人は以前この家の穴師なりしが

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「穴師」の意味・わかりやすい解説

穴師
あなし

奈良県中北部、桜井市北部の地区。巻向山麓(まきむくさんろく)の巻向川(穴師川)に沿って古い農業集落が立地し、ミカンの産地として知られる。近くに式内社穴師坐兵主(いますひょうず)神社があり、その参道に位置する相撲神社は相撲発祥の地と伝えられる。『日本書紀』垂仁(すいにん)天皇7年の条に、纏向珠城宮(まきむくのたまきのみや)にいた天皇が出雲(いずも)国(島根県)の野見宿禰(のみのすくね)をよんで当麻蹶速(たいまのけはや)と相撲をとらせたと記されている。また、近くを山辺の道(やまのべのみち)が通り、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)(人麻呂)の歌碑がある。

[菊地一郎]

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普及版 字通 「穴師」の読み・字形・画数・意味

【穴師】けつし

採掘業者。

字通「穴」の項目を見る

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