笠取峠(読み)かさとりとうげ

日本歴史地名大系 「笠取峠」の解説

笠取峠
かさとりとうげ

[現在地名]立科町、小県郡長門町

中山道芦田あした宿と小県ちいさがた長窪ながくぼ宿(現小県郡長門ながと長久保新町ながくぼしんまち)の間にあり、標高八八七メートル。

享保九年(一七二四)に編述された「信府統記」に「かりとり峠此峰小県郡ト佐久郡ノ郡境ナリ」と記されている。また宝暦三年(一七五三)に編述された「千曲之真砂」に「芦田より(中略)一里行て狩取坂といふ。又狩鳥峠共云也。一説に笠取峠といふ。風強き所なる故の名也といへり。

笠取峠
かさとりとうげ

東西両笠取を結ぶ主要道が、笠取山の北方稜線を越える峠。標高は約三一〇メートルであるが、旧道勾配は険しく、近年開かれた新道も曲折している。

峠のすぐ東側には清滝せいりゆう神社があり、頂上には天狗杉があったが、老化したため昭和四〇年(一九六五)に伐採された。「方丈記」の日野山閑居のくだりに、「心遠くいたるときは、これより峰つゞき炭山をこえ、笠取を過ぎて、或は石間にまうで、或は石山ををがむ」とあるのはこの峠道にあたる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠取峠」の意味・わかりやすい解説

笠取峠
かさとりとうげ

長野県北佐久(さく)郡立科町(たてしなまち)と小県(ちいさがた)郡長和町(ながわまち)との境にある峠。標高887メートル。国道142号が通る。蓼科(たてしな)山の北麓(ほくろく)に位置し、近世の中山道(なかせんどう)が通り、峠付近には樹齢およそ300年余りの老松約100本が立ち並んでいる。中山道の並木としてはもっとも優れている。慶長(けいちょう)年間(1596~1615)小諸藩(こもろはん)が植樹したもので県指定天然記念物。旧街道には馬頭観音(かんのん)、一里塚、茶屋跡があり、夏涼しく編笠(あみがさ)をとったためこの名が生まれた。立科町の芦田(あした)から徒歩約10分。

[小林寛義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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