家庭医学館 「筋性斜頸」の解説
きんせいしゃけい【筋性斜頸 Muscular Torticollis】
赤ちゃんのくびの片側の筋肉(胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん))にしこりができて、筋肉が短縮するために、くびが横に曲がる病気です。
こうしたことがおこる原因は、よくわかっていません。
[症状]
生後1週間目くらいに、くびの片側に指先ほどの大きさのしこりができ、それが生後3週間までに、徐々に大きくなります。それ以後、しこりは自然に小さくなって、90%は1年以内に消えてしまいます。
しこりが残ると、赤ちゃんは顔をしこりの反対側に向け、くびをしこりのほうに傾け、それぞれ反対側には動かしにくくなります。
この状態が長く続くと、寝ぐせがついて、片側の後頭骨(こうとうこつ)が平らになり、顔がいびつになってしまいます。
[治療]
90%は自然に治ってしまうので、赤ちゃんの間は、とくに治療の必要はありません。
治るまで、頭や顔がいびつにならないように、寝かせ方を工夫します。向きぐせがあるほうの反対側におもちゃや窓などがあるようにします。
マッサージをすると、しこりと周囲の組織の間に癒着(ゆちゃく)がおこって、自然治癒(ちゆ)をさまたげることが多いので、しないようにしましょう。
1歳以上になってもよくならないときに、初めて手術を考えます。
手術は、緊張している筋肉を鎖骨の上で切り離して、くびに矯正用のカラーをつける方法が行なわれます。