一般には、関節に関連をもつ軟部組織の収縮によって、関節が一定方向に運動を制限された状態、いわゆる関節拘縮を意味している。拘縮は、収縮の方向によって、伸展、屈曲、内転、外転、旋回などが区別されている。つまり、伸展拘縮とは、伸展位に関節が固定されて、屈曲のできない状態のことである。さらに拘縮は、先天性と後天性に大別され、先天性でもっとも多いのは、足の回外や屈曲の拘縮を示す内反足(ないはんそく)である。後天性のものは、皮膚、結合組織、筋肉、神経、関節に由来するものに分類される。皮膚の瘢痕(はんこん)(傷あと)による拘縮の大部分は火傷によるものである。結合組織によるものは靭帯(じんたい)、腱(けん)の瘢痕によるもので、特殊なものとしては、手の指根部が屈曲するデュピュイトランDupuytren拘縮がある。筋肉の萎縮(いしゅく)、短縮によっても拘縮がおこるし、神経機能の異常によって、筋肉が反射性、痙(けい)性、麻痺(まひ)性に収縮して拘縮がおこることがある。いずれの場合も、軽度であればマッサージ、関節運動などによって治癒するが、放置すると二次的な変化として線維および骨による癒着がおこり、関節強直の状態となるので注意を要する。
[渡辺 裕]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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