(読み)ひる

精選版 日本国語大辞典 「簸」の意味・読み・例文・類語

ひる【簸】

  1. 〘 他動詞 ハ行上一 〙
  2. (み)穀物などをあおり振るって、屑(くず)を除き去る。→簸(ふ)。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「糠のみ多く候へば、それをひさせんとて置きたる物をば」(出典:古今著聞集(1254)一六)
  3. 風が吹きつけて物を揺らす。
    1. [初出の実例]「カゼガ マドヲ firu(ヒル)」(出典日葡辞書(1603‐04))

ふ【簸】

  1. 〘 他動詞 ハ行上二段活用 〙(み)で穀物などをあおって、もみがらごみなどを除く。

簸の補助注記

「簸」を動詞として、上二段に活用した例はないが、「書紀‐神代上」の「簸之河」が、古事記に「肥河」、出雲風土記に「斐伊河」とあり、「肥」「斐」は上代特殊仮名づかいで、乙類の仮名であるところから、「簸」も同様の乙類のヒであったと見られ、したがって、古くは上二段活用であったと考えられる。後に「簸 米比留」(新撰字鏡)のように上一段化した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「簸」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音]
[字訓] ひる・あおる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は皮(ひ)。〔説文〕五上に「米を揚げて糠(ぬか)を去るなり」とあり、箕(み)に入れた米をふりあげるようにして、そのもみがらなどを去るをいう。〔詩、小雅大東〕に「維(こ)れ南に箕(き)(星)るも 以て簸揚すべからず」とは、箕星は箕の名をもつが、簸揚の役に立たぬことをなげく意。箕を動詞化した字とみてよい。

[訓義]
1. ひる、あおる、あおりあげる。
2. ふるいすてる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕簸 美(み) 〔名義抄〕簸 ヒル

[語系]
簸・播・波puaiは同声。波のようにゆり動かし、ひらひらと風に揚げるというような状態をいう。

[熟語]
簸運簸箕簸蹂簸汰・簸土簸掉簸盪・簸簸動簸頓・簸頓簸粃・簸揚・簸簸羅簸弄
[下接語]
箕簸・掀簸・舂簸吹簸・扇簸・簸・波簸・飄簸・風簸・翻簸・揚簸・浪簸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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