粉引(読み)こひき

精選版 日本国語大辞典 「粉引」の意味・読み・例文・類語

こ‐ひき【粉引】

〘名〙 朝鮮李朝陶器。白い釉(うわぐすり)が粉を引いたようになっているのでこの名がある。茶碗徳利の類があるが茶碗にすぐれた作が多い。粉吹き。
浮世草子好色敗毒散(1703)四「粉引(コヒキ)熊川(こもがへ)などの茶碗は、縄からげにして」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「粉引」の意味・わかりやすい解説

粉引
こひき

朝鮮半島で李(り)朝前期に焼かれた粗雑な陶器の一種刷毛(はけ)を使わずに、器体に厚く白(しろ)化粧を全面に施し、透明釉(ゆう)をかけた陶器で、鉢、碗(わん)、皿、徳利などに遺品をみる。なかでも鉄絵を加えたいわゆる絵粉引は希有(けう)の存在である。なお粉引は桃山時代には日本の茶人の注目するところとなり、わびの美を備えた碗が茶の湯茶碗として珍重された。東京・畠山(はたけやま)記念館所蔵の「松平」銘、および「三好」銘の粉引茶碗双璧(そうへき)である。

[矢部良明]

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世界大百科事典(旧版)内の粉引の言及

【李朝美術】より

…前期には良質な白磁が生まれ,青花(染付)も現れ,粉青沙器(ふんせいしやき)(三島手(みしまで))が盛行した時期であるが,この期を代表するものは高麗象嵌青磁の流れをくむ粉青沙器である。これは白土で器面を化粧する技法と施文法に特徴があり,日本では三島手とよばれ,彫三島(ほりみしま),刷毛(はけ)目,彫刷毛目,絵刷毛目,粉引(こひき)などと分類されている。これらの中で最も尊重されるのは,〈礼賓寺(れいひんじ)〉〈内贍寺(ないせんじ)〉〈内資寺〉〈長興庫〉〈仁寿府(にんじゆふ)〉ほかの官司銘が刻まれた,いわゆる礼賓三島(れいひんみしま)で,官物に供せられたものだけに優れた作品が多い。…

※「粉引」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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