熊川(読み)クマガワ

デジタル大辞泉 「熊川」の意味・読み・例文・類語

くま‐がわ〔‐がは〕【熊川】

栃木県北東部を流れる川。那珂川水系、蛇尾さびの支流の一。那須塩原市黒滝山(標高1754メートル)東斜面に源を発し、那須野ヶ原を流れ大田原市蛇尾川に注ぐ。長さ29.6キロ。

コモガイ【熊川】

《〈朝鮮語〉》高麗こうらい茶碗の一。口縁が反り返り、高台が大きく、見込みの底に鏡とよばれる円形のくぼみがある。熊川・鬼熊川などに分けられる。朝鮮半島南東部の港、熊川から積み出されたための称といわれる。

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精選版 日本国語大辞典 「熊川」の意味・読み・例文・類語

コモ‐ガイ【熊川】

  1. 〘 名詞 〙 ( [朝鮮語] Gom-gai )[ 異表記 ] コモガエ 高麗茶碗(こうらいちゃわん)の一種。一六世紀ごろに焼成されたもので、胎土(たいど)紫色で粗く釉(うわぐすり)は灰白色、縮緬皺(ちりめんじわ)がある。口辺は反(そ)り返り、茶溜りに鏡といっている円形のくぼみがあり高台は大きい。作調によって鬼熊川・真熊川、紫熊川などに分ける。名称はこの種の茶碗が朝鮮の釜山に近い港、熊川(コモガイ)から積出されたことによるという。熊川茶碗
    1. [初出の実例]「井戸、三島、粉引(こひき)、熊川(コモガヘ)などの茶碗は縄からげにして」(出典浮世草子好色敗毒散(1703)四)

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日本歴史地名大系 「熊川」の解説

熊川
くまがわ

蛇尾さび川の支流で、延長二九・六キロ、流域面積五三・九平方キロ。上流部はまき川ともよばれ、山間を出てまもなく合流する小巻こまき川に対し、大巻おおまき川とも称する。村地内の黒滝くろたき(一七五四・一メートル)に源を発して南東に流れ、那須野ヶ原で伏流し、約二〇キロ下流の今泉いまいずみ(現大田原市)で蛇尾川に合流するまで平常流水がない。大雨が降ると濁流が流れ、度々洪水を起こし、上流の肥沃な土が沿岸に堆積した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熊川」の意味・わかりやすい解説

熊川(福井県)
くまがわ

福井県三方上中(みかたかみなか)郡若狭町(わかさちょう)南部の地区。九里半越(ごえ)といわれた若狭街道宿駅。近江(おうみ)(滋賀県)国境に近く、軍事、経済上の要衝として重きをなし、かつて蔵屋敷、陣屋、関所、番所、町奉行所(まちぶぎょうしょ)が置かれた。現存する町並みにも昔日のおもかげをとどめ、1996年(平成8)に重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

[印牧邦雄]



熊川(高麗茶碗)
こもがい

朝鮮半島、李朝(りちょう)前期の16世紀ころに焼造された高麗茶碗(こうらいぢゃわん)の一種。「こもがえ」ともいう。この名称は、室町時代以来の対日貿易港のあった慶尚(けいしょう)南道の洛東江(らくとうこう)に臨む港、熊川の地名に由来するらしく、この港から送られてくる茶碗の一手を熊川とよんだものであろう。腰は深く、口縁が端反(はぞり)となり、全体に量感が備わっているのが特色で、大きな高台(こうだい)を削り出し、見込底には鏡とよぶ丸い窪(くぼ)みが削り出されてある。釉(うわぐすり)は白色を基調として黄、灰みを帯びている。作調によって真(ま)熊川、鬼(おに)熊川、絵熊川、紫(むらさき)熊川、滑(ぬめり)熊川などに分けられている。

[矢部良明]

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世界大百科事典(旧版)内の熊川の言及

【上中[町]】より

…古くから開けた地で,4~5世紀の古墳が多く,西塚,上の塚,中の塚,上船塚,下船塚の5基の前方後円墳は史跡に指定されている。交通の要衝にあり古代から京都との交流が盛んで,若狭街道沿いの熊川は宿場町として発展,江戸時代には小浜藩の口留番所が置かれた。現在も街道筋は往時の面影を残している。…

※「熊川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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