翻訳|mental age
精神発達の程度を表す尺度の一つ。略してMAともいい、知能年齢ともいう。知能検査を初めてつくったフランスのビネーが、1908年版で採用した。この検査は、各年齢段階別の問題で構成されている。たとえば8歳級問題は8歳児の大多数(3分の2~4分の3)が成功するが、それより幼い子供では成功しにくい問題からなっている。したがって、そのすべての問題を通過すれば、8歳の基底年齢が与えられる。さらに9歳級問題6問中3問、10歳級問題6問中1問に正解し、11歳級問題は全問正解できなかったとすると、1問につき2か月が配当されているので、4問分の8か月を基底年齢に加えて8歳8か月の精神年齢に達しているとされる。この精神年齢を分子、実際の年齢(暦年齢、CA)を分母とした比を100倍した数値が、知能指数(IQ)とよばれる。
実際の年齢尺度はビネーの1911年版では3歳から15歳まで、ターマンの1916年版では2歳から18歳までとなっていて、それ以上の年齢は成人級として一括されている。これは検査の種類によって差があるものの、15歳から20歳代で集団としての知能は発達の頂点に達するからである。したがって、成人や高齢者を対象とする検査では精神年齢による表示はほとんど意味をもたない。この場合は精神年齢によらない偏差IQが用いられる。1939年のウェックスラー-ベルビュー知能検査など、ウェックスラーDavid Wechsler(1896―1981)による各種の知能検査はすべてこの偏差IQによって表示されている。今日では、成人、高齢者ばかりでなく児童、青年についても精神年齢はほとんど用いられなくなり、偏差IQ、知能偏差値、パーセンタイル(百分位数)などによって知能水準を表すことが多い。
[肥田野直]
知能の発達の程度を年齢で表現した尺度で,知能年齢とも呼ばれる。略号MA。これはA.ビネが1908年に知能テストを改訂したさい,初めて用いられた。ビネ式知能テストでは,各年齢に見合う一定数の問題が設定されており,子どもがどの年齢に相当する問題まで合格したかを調べることにより,その精神年齢が求められる。このように精神年齢を,年齢尺度から直接求める代りに,点数尺度を用いて算出する方法もある。すなわち,子どもの知能得点がどの年齢の平均点に等しいかを調べることにより,精神年齢を決定するのである。精神年齢は,つねに生活年齢と比較されなければならないので,一般には,精神年齢と生活年齢との比を示す指標である知能指数が用いられている。精神年齢は,知能が年齢とともに発達していく範囲内(16歳ごろまで)でのみ意味を持つのであって,それ以上の年齢の知能水準を示すことはできないのが欠点である。
→知能テスト
執筆者:滝沢 武久
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…そこで一般には,知能とは知能テストで測定される能力であるという操作的定義(測定操作による定義)が,採用されている。 知能テストによって測定された結果は,精神年齢mental age(MA),知能指数intelligence quotient(IQ),知能偏差値T‐scoreなどによって表示される。たとえばビネ式知能テストでは,年齢別にテスト問題が配当されており,子どもがどの年齢相当の問題まで合格したかに応じて,その子どもの精神年齢が決定される。…
…そこで一般には,知能とは知能テストで測定される能力であるという操作的定義(測定操作による定義)が,採用されている。 知能テストによって測定された結果は,精神年齢mental age(MA),知能指数intelligence quotient(IQ),知能偏差値T‐scoreなどによって表示される。たとえばビネ式知能テストでは,年齢別にテスト問題が配当されており,子どもがどの年齢相当の問題まで合格したかに応じて,その子どもの精神年齢が決定される。…
…その測定結果は,一定の基準にてらして数量的に表示される。この場合,知能の一般的傾向を総括的にとらえる一般知能テストでは,精神年齢,知能指数,知能偏差値など,単一の指標であらわされるが,知能の特性により選択された下位検査にもとづいて各領域で働く知能を診断的にとらえる診断性知能テストでは,テスト得点がプロフィルとして描かれる。また,知能テストには,その施行様式からみて,個人を対象とする個別式知能テストと,集団を対象とする集団式知能テストとがあり,さらに問題構成様式からみて,主として言語を用いる言語式(A式)知能テストと,数字,記号,図形などだけによる作業式(B式)知能テストがある。…
※「精神年齢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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