テスト(読み)てすと(その他表記)test

翻訳|test

デジタル大辞泉 「テスト」の意味・読み・例文・類語

テスト(test)

[名](スル)
学力・能力などの状態や度合いを試すこと。試験。検査。「仕事の適性テストする」「知能テスト」「ペーパーテスト
事物の良否・性能などを試して調べること。試験。実験。「ブレーキテストする」「テスト放送」「テスト飛行」
[類語]試験試問考査受験考試入試オーディション実験試行エクスペリメント試みる試す小手調べ腕試し力試し運試し肝試し試走踏み絵トライ

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精選版 日本国語大辞典 「テスト」の意味・読み・例文・類語

テスト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] test )
  2. 学力や、知能、能力などを知るための試験。検査。また、その試験をすること。
    1. [初出の実例]「生徒の鑑賞力をテストする考へで自分も読んでみたものであった」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)
  3. 実際の使用条件に近い条件で、ものの良否を調べること。また、理論として考えられたことを実地に応用して、その当否を調べること。「商品テスト」「テスト飛行」 〔外来語辞典(1914)〕
  4. 演劇、放送などで、本番の前に行なう下げいこ。
    1. [初出の実例]「放送局へ行く。二時半までかかってテストしたが、女の子も僕らも歌が入ってないので醜態なり」(出典:古川ロッパ日記‐昭和九年(1934)五月一八日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テスト」の意味・わかりやすい解説

テスト
てすと
test

検査。能力・興味などの心理的特性の存否や程度を明らかにする目的で、一定の条件のもとで課題や作業を与え、その結果を所定の基準に照らして判定する組織的手続をいう。また、そこで用いられる問題集や器具をテストという。心理検査mental testという用語は1890年アメリカの心理学者J・M・キャッテルが初めて用いたものであるが、統計学ではテストが検定を意味するなど、種々の領域でテストという用語が広く用いられている。

肥田野直

分類

心理テストは、いくつかの観点から分類される。(1)測定内容 知能検査学力検査適性検査性格検査に大別され、学力検査は、いわゆる試験のことで、教育検査といわれ、そのほかは狭義の心理検査(心理テスト)とよばれる。また、知能・学力・適性の検査は最善を尽くして答える最大値測定を目的とし、性格検査は平常の行動の一つの見本、つまり典型値を調べることを目的としている。(2)被検査者数 検査者と被検査者が一対一となって実施するのが個人(個別)検査であり、同時に多数者を検査するのが集団(団体)検査である。(3)課題の提示および反応の方法 口問口答(口述検査)、口問筆答、印刷された質問に対する筆答(紙筆検査)、身体的動作による反応(動作検査)、器具の操作(器具検査)などの形式がある。そのほか、筆答のかわりにキーを押して反応する形式もある。(4)実施時間と問題の難易度 比較的やさしい問題を短時間に多数課するのが速度検査であり、難易度の異なる問題を課してどの程度の問題まで解答できるかをみるのが力量検査である。なお、個人検査では速度検査に二つの方法があり、制限時間内に完成した量を測定する時間制限法time limitのほかに、一定量の問題を完成するまでに要した時間を測定する作業制限法work limitがある。(5)構成 結果が一つの総合的指標として示されるテストを概観的テストといい、複数の分野あるいは内容ごとに下位検査が構成され、別々の指標が得られるものを分析的テストという。関連のある一群のテストを組み合わせて用いるときテスト・バッテリーという。(6)作成手続 標準化の手続を経て作成されたテストを標準検査といい、それ以外のテストを非公式検査という。教師が担任する学級に実施する教師作成(自作)検査は非公式検査の一種である。(7)得点解釈の準拠 テストの結果として得られる得点(素点)をノルムnormに準拠して解釈するテストを集団基準準拠テストとよび、具体的教育目標(クライテリオン)を達成した程度を解釈するテストを目標基準準拠テストとよぶ。また、個人ごとに相対的に高い点と低い点を比較できる独自性得点ipsative scoreを求めるテストもある。以上3種類のテストはそれぞれ相対評価、達成度(到達度)評価、個人内評価の手段とされる。

[肥田野直]

ノルム

テスト素点は次の2種類の値に換算される。(1)その素点に対応する相当年齢または相当学年。たとえば、知能検査における知能年齢や、学力検査における教育年齢または相当学年がこれにあたる。また、これらの年齢と暦年齢との比に基づいて算出される知能指数や教育指数も換算値といえよう。(2)被検査者と同じ年齢の集団内での相対的位置を示す値。これには、パーセンタイル順位と標準得点とがある。標準得点には多くの種類があるが、平均50、標準偏差10となるもの(Z得点)をわが国では偏差値とよんでいる。

[肥田野直]

標準化

テストを作成し標準化するには次の手続が行われる。(1)検査目的の明確化と内容範囲の確定、(2)問題項目の抽出と具体化、(3)予備実験に基づく項目分析、(4)項目の編集、(5)被検査者の母集団から抽出された標本に対して実施した結果に基づくノルムなどの設定、(6)素点の換算表、テストの実施および採点の方法、結果の解釈の方法、テストの信頼性・妥当性の資料を掲載した手引書の作成。

[肥田野直]

テストの備えるべき条件

標準テストはもちろん、非公式テストでも次の諸条件を検討しておくことが望ましい。(1)実施および採点手続が明確に定められていること。(2)得点を解釈する準拠が設定されていること。(3)客観性(検査者間または採点者間の一致度)が高いこと。(4)信頼性が高いこと、すなわち測定誤差が小さいこと。信頼性には次の4種類がある。再テスト信頼性(安定性ともいう)、平行形式信頼性(平行すなわち代替テスト間の一致度)、折半法信頼性(一つのテストを二分したときの部分得点間の一致度)、内部一貫性(テスト項目間の反応の一致度)。(5)妥当性が高いこと、すなわちテストが目的としているものを測定できること。妥当性には内容的妥当性、基準関連妥当性(併存的妥当性と予測的妥当性)、構成概念的妥当性がある。検査の種類によって、重視される妥当性は異なる。たとえば、知能検査や性格検査は併存的妥当性や構成概念的妥当性が重要であるが、学力検査は内容的妥当性や併存的妥当性が、適性検査は予測的妥当性が重視される。

[肥田野直]

テストの形式

課題に対して自由な反応を許すのは論文体テストや投影法テストであり、一定の方式で反応を求めるのが客観テストである。客観テストでも二者択一法(真偽法や諾否法)、多肢選択法、組合せ法、配列法などの再認形式テストは完全に客観的採点ができるが、単純再生法、完成法、訂正法などの再生形式テストの場合は採点者の主観性が介入する余地が残されている。

[肥田野直]

社会的影響

テストは計量心理学的検討課題のほかに社会的影響の問題がある。テストが社会的公正やプライバシーを侵害しないように、作成者・実施者・結果利用者の慎重な配慮が必要である。

[肥田野直]

『肥田野直編『テストI』(1972・東京大学出版会)』『池田央著『テストと測定』(1982・第一法規出版)』

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最新 心理学事典 「テスト」の解説

テスト
テスト
test

テストの定義について,2007年に日本で発行された『テスト・スタンダード』(日本テスト学会編集)は,その基準が適用される範囲を限定するために,「本基準で対象とするテストとは,能力,学力,性格,行動などの個人や集団の特性を測定するための用具であり,実施方法,採点手続き,結果の利用方法などが明確に定められているものである」としている。アナスタシAnastasi,A.は,現在のテストに関する理論の方向性を定めた有名な『Psychological Testing』(1954)を書いているが,そこでは「行動のサンプルの客観的で標準化された測定用具」としている。同様に評価の高いクロンバックCronbach,L.J.の『Essentials of Psychological Testing』(1949)では,「行動を観測し,数値的な尺度や用意されたカテゴリーによってそれを記述する系統的な手続き」としている。これら三つの定義に共通している要素を考慮すると,テストとは,測定しようとしている属性を反映する行動的表出を,標準化された方法を用い,数値,あるいはカテゴリーによって記録する用具であるとするのが妥当であろう。テストは,どのように実施すべきか,どのように結果を解釈するかなどの諸手続きが定められていなければならない。それが標準化されたという意味である(標準化には,テストの基準として準拠する集団分布を定義し,それとの関連によってテスト得点の意味を明確にするという別の意味もあるので注意する必要がある)。また,テストによってもたらされる結果の記録は,数量やカテゴリーである。明確に定義されたカテゴリーは名義尺度によって表現できるので,テストの結果は数値であるといってもよい。テストの定義は,理論体系の中で個々の仮説や法則の真偽の検証に資するような厳密性を要求されるものではないので,上記のような緩やかな定義で十分であろう。この定義によれば,前述の『テスト・スタンダード』がいうように,テストの中に,心理学的なテスト,学力・知識・技量などの試験などに加えて行動評定,態度評定,調査,構造化された面接,組織的観察などを含めることも可能である。

【テストの種類】 テストは大まかに次のように分けられる。

1.知的能力テストmental ability test 代表的なものは知能テストintelligence test(知能検査)である。潜在的な知的能力を測ろうとするテストである。ウェクスラー知能検査や,スタンフォード-ビネー知能検査などが有名である。最近では,知能ということばが生得的な能力であることを連想させることを嫌って,認知能力や学校能力などの別の名称にするテストもある。

2.達成度テストachievement test 学力テストachievement test(学力検査)がこの代表である。達成した知識や技量の程度を測るテストである。

3.パーソナリティ・テストpersonality test パーソナリティを測るテストである。これはさらに,質問紙などの客観的テスト,ロールシャッハ検査などの投映法(投影法),クレペリン検査などの作業検査に分けられる。

4.興味テストinterests test,価値テストvalues test,態度テストattitudes test 興味や価値,態度を測るテストである。たとえば,クーダー-ストロング職業興味検査がある。

5.神経心理学的アセスメントneuropsychological assessment 認知能力のテストであるが,とくに脳機能と関連づけることを意図している。

 そのほかの基準によってテストを分けることもできる。

⑴速度テストspeed testか力量テストpower testか:テストに制限時間があり,解答に要するスピードが,得点に影響する場合が速度テストである。制限時間がない場合が力量テストである。⑵パフォーマンスか典型行動か:最大限の力量を発揮するように設定された場面における測定か,通常の日常的場面における行動の測定かを分ける基準である。一般に知的能力テストや学力テストは前者であり,パーソナリティ・テストは後者である。⑶筆記テストか行動テストか:テストが机の上で筆記する方式であるか,机上と比べればより自然な状況における行動の表出の記録であるかの違いである。通常の学力テストは筆記で行なわれるが,技量のいくつかは実際的場面で試されることがあり,行動テストである。机上でありながら,より自然に近い状況をコンピュータ制御によって実現するシミュレーション型のテストは,簡便に実践的能力を評価することができる。⑷集団実施テストか個人テストか:集団でいっせいに実施できるテストと,被験者一人ひとり個別に実施するテストがある。知能テストの多くは個別実施を前提とする。⑸いっせいテストか適応型テストか:被験者全員が原則的に同じテスト項目を受けるテストと,被験者のそれぞれの属性を測定するために最も良いテスト項目を選択して実施するテストの違いである。

 テストを適応的に実施するには,テスト得点のモデルとコンピュータの計算力が必要である。先に挙げたシミュレーション型のテストや適応型のテストは,コンピュータの能力に依存した方法であり,コンピュータ・テストcomputer based test(CBT)とよばれる。 →古典的テスト理論
〔繁桝 算男〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テスト」の意味・わかりやすい解説

テスト
test

個人の特性に関する情報を組織的・系統的に引出し,その個人に対して適切な判断や処置を下すのを助けるための道具。多くの場合,テスト結果は数値化される。引出す情報としては,知能,学力,性格,適性,などがあり,また用途としては,選抜,診断,予測,配置などがある。方法には,ペーパーテスト,口頭テスト,器具テストなどがあり,結果の評価基準には,集団準拠の場合と目標準拠の場合がある。テスト自体の適切さは,妥当性,信頼性を基準として評価される。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「テスト」の解説

テスト

開発したシステムやモジュールなどが正しく動作するか、仕様書どおりに作成されているか、性能に問題はないかなど、システムやモジュールに対して完成度を確かめるために行う作業のこと。開発者側が行うテストと、ユーザー側。

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