糖蜜法(読み)とうみつほう(その他表記)Molasses Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「糖蜜法」の意味・わかりやすい解説

糖蜜法
とうみつほう
Molasses Act

1733年に制定されたイギリス重商主義の植民地規制法。糖蜜条例ともいう。糖蜜は、サトウキビの液を煮つめ砂糖を結晶させたあとに残る蜜状のもので、ラム酒原料となる。英領西インドの奴隷主プランターが、アメリカ本土の北部植民地へ輸入される外国産糖蜜を排除するため、本国議会を動かして禁止的高関税を課すことに成功した。密輸が横行したため、実効はあがらなかったが、1764年の砂糖法制定の先駆となった。

[池本幸三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糖蜜法」の意味・わかりやすい解説

糖蜜法
とうみつほう
Molasses Act

1733年イギリス議会が北アメリカ植民地に対して外国領産糖蜜・砂糖の輸入に課した高率な関税法。この法は糖蜜・砂糖の生産における経済競争にイギリス領西インドのプランターがフランス領西インドのプランターに敗れた結果,前者圧力で制定された。この法による糖蜜1ガロンにつき6ペンスという禁止的関税は,かえって植民地商人の密貿易を助長しその実効を失わせた。 64年の砂糖法はこの条例を改訂して関税率を半分に引下げ,別の法令で税関吏の綱紀粛正をはかって,密貿易の取締りを強化し,関税収入の増加を目指すものであった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「糖蜜法」の解説

糖蜜法(とうみつほう)
Molasses Act

1733年のイギリスの法律。外国領植民地からアメリカ大陸のイギリス領植民地に輸入される糖蜜や砂糖に高い輸入税を課したもの。外国領砂糖植民地との競争に苦しむ西インド諸島のイギリス領砂糖植民地を保護するための条例であったが,本国政府はこれを厳しく実施しなかったので,大陸植民地はこの法律を無視して,密貿易を行った。

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旺文社世界史事典 三訂版 「糖蜜法」の解説

糖蜜法
とうみつほう
Molasses Act

1733年に成立したイギリス本国の北アメリカ植民地規制立法
植民地がラム酒の原料としてフランス領西インド諸島から輸入していた糖蜜に対して,高い関税を課することを規定した重商主義立法で,植民地の貿易業者らの反対を招いた。この法律を改訂したのが1764年の砂糖法。

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