砂糖法(読み)さとうほう(英語表記)Sugar Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂糖法」の意味・わかりやすい解説

砂糖法
さとうほう
Sugar Act

砂糖条例ともいう。フランス領西インド諸島とイギリス領北アメリカ植民地との間で行われていた密貿易を取り締まり、あわせて本国歳入を増加させるために、1764年4月5日イギリス議会が制定した一連法律。砂糖条項では、外国産砂糖の関税率をあげてイギリス領西インド産砂糖の北アメリカ植民地での独占販売を図り、糖密条項では、従来関税率を半減させたものの、これまで看過されてきた密貿易を厳重に取り締まることによって、徴税を徹底することをねらった。このほか、外国産の酒、絹、アイリネンなどの物品に対する税率も規定している。別名「アメリカ歳入法」ともよばれるこの法律は、重商主義体制の強化策として北アメリカ植民地の反対を受けた。

[島川雅史]

『今津晃著『アメリカ独立革命』(1974・至誠堂)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「砂糖法」の意味・わかりやすい解説

砂糖法
さとうほう
Sugar Act

イギリスのとった植民地政策一環として 1764年4月5日イギリス議会で通過した歳入法。多種類の外国産品目に対する輸入税率と,貿易運輸に関する詳細な必要手続を定めている。同法の砂糖条項は,外国領西インド産の精白糖に対する関税率を高め,イギリス領西インド産の精白糖の北アメリカ植民地での独占販売をはかった。糖蜜条項は 33年の糖蜜法を改訂し,外国産糖蜜に対する関税率を1ガロン6ペンスから3ペンスに引下げた。この法は植民地駐留軍費用の一部を関税によって植民地人に負担させることを直接の目的としている。このイギリスの植民地政策は,植民地人から多くの不評を買い,やがてアメリカ独立戦争一因となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「砂糖法」の解説

砂糖法
さとうほう
Sugar Act

七年戦争後の1764年,イギリス本国が植民地に課税を目的に制定した法令
1733年の糖蜜 (とうみつ) 法に代わるもので,イギリス領西インドのさとうきび栽培を奨励するとともに,糖蜜輸入税を引き下げる一方,その徴収をきびしくした。そして密輸を取り締まり,航海法の執行を強化。1765年の印紙法制定とともに北部植民地商人の反英運動を招き,アメリカ独立戦争の誘因となった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「砂糖法」の解説

砂糖法(さとうほう)
Sugar Act

イギリス領西インド諸島の砂糖プランターを保護するとともに,関税収入をふやすために,1733年の糖蜜法に代えて64年に制定されたイギリスの法律。アメリカ植民地で強い反対を呼び起こし,まもなく修正された。

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