納曽利(読み)ナソリ

デジタル大辞泉 「納曽利」の意味・読み・例文・類語

なそり【納曽利/納蘇利】

雅楽高麗楽こまがく高麗壱越こまいちこつ調の小曲。舞は二人走り舞で、一人で舞うときは落蹲らくそんという。番舞つがいまい蘭陵王らんりょうおう双竜舞そうりゅうのまい

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精選版 日本国語大辞典 「納曽利」の意味・読み・例文・類語

なそり【納蘇利・納曾利】

  1. 雅楽の曲名高麗楽壱越調(いちこつちょう)の曲。舞人二人が裲襠(りょうとう)装束に龍をかたどった仮面をつけ、銀色の桴(ばち)を持って舞う。破と急がある。一人舞の時は、落蹲(らくそん)という。左舞陵王とともに走舞の代表的なものである。なっそり。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
    1. 納蘇利〈舞楽図〉
      納蘇利〈舞楽図〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「納曽利」の意味・わかりやすい解説

納曽利
なそり

雅楽の曲名。納蘇利とも書く。代表的な右方高麗楽(こまがく)。高麗壱越(こまいちこつ)調。通例2人で舞われるが、1人のときもあり、この場合「落蹲(らくそん)」と称する(ただし奈良の舞楽ではこの逆に称する)。楽曲は破と急の2章よりなる。雌雄2頭の竜が戯れながら天に昇る姿を舞にしたといわれ、「双竜舞(そうりゅうのまい)」の別名もある。走舞(はしりまい)に属し、2人の舞手は背中合わせで大きな輪を描いたり、互いに斜め方向に飛び離れたり活発に動く。舞人はつりあごの面をつけ、毛べりの裲襠(りょうとう)を着、右手に銀の桴(ばち)を持つ。面は紺か緑の地に銀色の目玉と牙(きば)をつけて竜を模す。童舞(どうぶ)でも舞われ、このときは面でなく頭上に天冠をつける。古くは相撲(すもう)や競馬(くらべうま)で右方の勝利を祝して舞われた。番舞(つがいまい)は『蘭陵王(らんりょうおう)』。

[橋本曜子]


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