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細胞融合 さいぼうゆうごう cell fusion

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

細胞融合
さいぼうゆうごう
cell fusion

複数の細胞が融合し,共有の膜で包まれる現象。人工的な細胞融合法としては,センダイウイルスなどのウイルスを用いる方法とポリエチレングリコールを用いる方法が広く行なわれてきたが,1970年代に高電圧パルスを印加して細胞を融合させる方法が開発され,普及しつつある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

細胞融合

2個以上の細胞が融合して、1個の雑種細胞となること。センダイウイルス(パラインフルエンザウイルス1、あるいはHVJ:Hem‐agglutinating Virus of Japanともいう)に動物細胞を融合させる性質があることを1957年に岡田善雄が見いだし、これにより人為的な細胞融合が可能になった。HVJだけでなく、ポリエチレングリコール(PEG)処理や、電気刺激によっても細胞融合を起こせる。腫瘍細胞と、抗体産生細胞を細胞融合させたハイブリドーマによるモノクローナル抗体の生産などに利用され、植物細胞ではジャガイモトマトの雑種ポマトなどが作出されている。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

さいぼう‐ゆうごう〔サイバウユウガフ〕【細胞融合】

同種あるいは異種の2個以上の細胞が融合し、両方のが合体して染色体がまざり合い、新しい1個の細胞が形成されること。受精時の生殖細胞などでみられる。人為的には細胞膜溶解酵素を作用させて雑種細胞をつくり品種改良などに利用。

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百科事典マイペディアの解説

細胞融合【さいぼうゆうごう】

二つ以上の細胞が合体し,接する部分の細胞膜を消失して多核細胞となること。自然状態でも起こるが,近年センダイウイルスなどのウイルスを用いたり,ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールなどの処理によって人為的に試験管内で細胞融合を起こすことが可能になった。
→関連項目細胞工学プロトプラスト

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栄養・生化学辞典の解説

細胞融合

 複数の細胞が融合すること.自然には骨格筋のように融合して多核細胞になる場合がある.人工的には,種々の目的でポリエチレングリコールやセンダイウイルスを用いて細胞を融合させる.

出典|朝倉書店
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世界大百科事典 第2版の解説

さいぼうゆうごう【細胞融合 cell fusion】

隣接する2個以上の細胞において,接する部分の細胞膜が消失し,多核化した細胞の生ずることをいう。生じた多核細胞は,シンシチウムsyncytium呼ばれる。2核の細胞については,単に二核細胞,または双核細胞binucleated cellと呼ぶことが多い。細胞融合は,自然の生物現象として生ずる場合,生体内で病理的な現象として生ずる場合,および試験管内で人為的に誘発せしめる場合とがある。自然に起こる細胞融合の例には,受精に伴う精子と卵子の間で起こるもの,脊椎動物の筋細胞分化に際して筋芽細胞間に起こるシンシチウム形成,霊長類胎盤の栄養芽層(トロホブラストtrophoblast)におけるシンシチウム層の形成などがある。

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大辞林 第三版の解説

さいぼうゆうごう【細胞融合】

隣接した細胞間の隔壁が消失して一つの細胞が生ずる現象。自然界では生殖細胞の合体などにみられ、人工的にはウイルスや化学的細胞融合促進物質、電気刺激などを利用して異種細胞相互を融合させて雑種細胞をつくり、遺伝子発現の制御機構を調べたり、単一の抗体を多量につくることなどが行われている。 → 雑種細胞ハイブリドーマ

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

細胞融合
さいぼうゆうごう

2個以上の細胞が合体して1個の細胞となる現象をいう。自然におこる細胞融合の例としては、生殖細胞の受精、変形菌のプラスモガミー細胞質融合)、筋原細胞の多核筋肉細胞への融合などがある。また病態組織中の多核細胞にも、たとえば麻疹(ましん)(はしか)、リンパ腺(せん)、結核のラングハンス巨細胞などのように細胞融合によって生じるものがある。近年培養細胞を用いて人工的に細胞を融合させる実験が行われ、細胞生物学の重要な研究手段となっている。2種の細胞を単に混合して培養しただけでも、頻度は低いが細胞融合がおこり、それを双方の細胞種の薬物耐性によって選別すれば融合細胞を得ることができる。積極的に細胞を人工的に融合させる方法としては、岡田善雄(よしお)が1958年(昭和33)に発見したセンダイウイルス(HVJウイルス)などのウイルスに感染させる方法、ポリエチレングリコールなどの薬剤で細胞膜を溶かす方法などがある。植物細胞の場合はあらかじめセルロースなどの細胞壁を除いた細胞すなわちプロトプラストをつくってから融合させる必要がある。この方法で、受精によらない異種間の細胞雑種をつくることができるが、たとえばヒトとマウスの細胞雑種などのようにかけ離れた種の間では、しだいにヒトの染色体が失われてマウスの細胞に戻ってしまう。しかし、ジャガイモとトマトの細胞雑種であるポマトなどのように植物体を形成することができる場合もある。また完全な細胞融合ではないが核を他の細胞に移植する方法、核と他の細胞の細胞質を組み合わせるサイブリッドという方法などが、顕微手術や、サイトカラシンBなどの薬剤を用いて行われており、同一個体からの多くの核を他の多くの卵細胞の細胞質と組み合わせれば遺伝組成が同じクローン個体集団をつくることができる。細胞融合を利用すれば、遺伝子の機能調節、核と細胞質の相互作用など遺伝学・細胞生物学上の多くの知識が得られるが、最近の成果としては、抗体産生細胞を腫瘍(しゅよう)細胞に融合させ、これを増殖させて単一の抗体を大量に生産するモノクローナル抗体法などがある。[大岡 宏]

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世界大百科事典内の細胞融合の言及

【形質転換】より

…DNAの細胞内への取込みは,連鎖状球菌,枯草菌などのように自然条件下で起こる場合も,大腸菌などのように人為条件下で起こる場合もある。高等動物細胞では,無処理でもきわめて低い頻度でDNAが細胞内に入るが,ポリエチレングリコール処理のように細胞融合を誘導する条件におけば取込みの頻度が大きくなることがわかっている。植物細胞では細胞壁を除いた後に動物細胞と同様に扱うことによってDNAを取り込ませることができる。…

【培養】より

…癌研究やウイルス学に加えて,他の研究分野も細胞培養法に負うところが大である。培養細胞を用いた細胞融合は,遺伝的組成の異なる核の融合による雑種細胞hybrid cellの形成を可能にし,ヒトを含めた高等動物の遺伝子発現機構の解析,染色体地図の作製,ハイブリドーマhybridomaの作製など,体細胞遺伝学や細胞工学の発展の基盤となり,それを利用したモノクローナル抗体の産生や細胞表面レセプターの解析,細胞分化や細胞間相互作用の解析などが可能になり,免疫学や発生学の研究に大きく寄与している。そのほか,医療や産業の面でも,羊水から採集した細胞の培養による染色体解析から,胎児の遺伝的異常を予知することが可能であり,ウイルス感染も宿主細胞の単層細胞培養により,量的または質的に検定される。…

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