改訂新版 世界大百科事典 「細隙灯顕微鏡」の意味・わかりやすい解説
細隙灯顕微鏡 (さいげきとうけんびきょう)
slit lamp microscope
ほとんど透明な眼組織に対し,縦長の細い光束をあてることによってできた光学的切断面を拡大して,眼の状態を観察する装置。ティンダル現象の応用として,1911年グルストランドAllvar Gullstrand(1862-1930)によって創始された。照明系と観察系から成り,照明は光束の幅や長さを変え,観察用の顕微鏡とともに検査の対象となる眼に対する相互の角度を調節しながら,眼瞼,結膜,角膜,前房,水晶体,硝子体,さらに付属装置を用いて眼底まで検査することができる。この機械を用いた検査は,検眼鏡による眼底検査と並ぶ重要なものとなっている。また,ある種のコンタクトレンズとの併用により,普通の方法では検査できない部位(前房隅角,毛様体,周辺部網膜)の観察も可能になる。眼圧計の装着はもとより,前眼部写真撮影あるいは前房深度や角膜・水晶体の厚さの計測にも応用されている。
執筆者:小林 義治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報