労働組合を民主主義的に運営する原則。労働組合運動における組織原則の一つで、組合幹部の独善主義的、官僚主義的な組織運営に対する概念として用いられる。労働組合は、思想、信条を異にする広範な労働者が自らの要求に基づいて団結し闘争する大衆組織である。したがって、労働組合が資本家ないしは使用者に対抗し、自らの経済的・社会的地位の向上を図るためには、組合員の強固な意思統一と団結を最大限に確保することが不可欠である。そのためには組合の組織運営が組合員全体の意思を反映し、その行動が民主主義的な手続を経て決定する組合民主主義の原則が確立されていなければならない。現行の労働組合法(昭和24年法律174号)が役員選挙、同盟罷業、規約改正について組合員の全員投票を労働組合規約に明記することを義務づけている(5条)のも、組合民主主義を法律によって確保しようとしたことにほかならない。
組合民主主義を確立するためには、労働組合は少なくとも、(1)使用者や政党など政治団体の組合への干渉を排除し、大衆組織としての自主性を確立していること、(2)すべての組合員が労働者としての民主的権利のほか、組合活動全般に実質的かつ平等に参加できる権利が保障されていること、(3)組合組織を日常的に動く組織にし、幹部闘争から大衆闘争への原則を確立していること、などの条件を満たしていなければならない。
[吉田健二]
…また,決定に際して少数グループの意見が多数グループによって絶えず否定されることは組織分裂に通ずるおそれがあるため,単純多数決によらず各層の意見を反映するよう,議決方法や代表者数が配慮されている。このような組織運営のあり方を組合民主主義と呼んでいる。 選任された役員は執行委員会を形成し,組合員代表からなる中央委員会あるいは代議員会にはかりながら業務を遂行する。…
※「組合民主主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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