仏教の経典を安置したり、読誦(どくじゅ)するときに用いる机。禅宗では経案(きんなん)という。8足、16足などの多足机や、花形足など種々の形があったが、平安時代以降は看経(かんきん)や写経に使うようになり、座り机くらいの高さで、甲板(こういた)の左右に筆や経巻が落ちないよう筆返しをつけ、断面が四角の脚を外開きに反らせたものが一般的となる。甲板の下に欄間(らんま)をつくるものがあり、ここに引出しを備えるものもある。現在みられる制式が定着するのは鎌倉時代らしい。古い遺品はあまり多くないが、京都高山寺(こうざんじ)の黒漆(くろうるし)机は平安時代のもので、国の重要文化財に指定されている。
[中尾良信]
…読書や物書きなどに使う文机(ふづくえ),仏前に置き香炉など載せる前机,経を読むときに使う経机,飲食物を載せて食事するのに使う食卓など各種ある。漢字ではもと几(き)と書き,これは脚付きの四角い台を描いた象形文字から発しているが,日本語の〈つくえ〉は〈坏居(つきう)え〉の意味で,元来は坏(食物を入れた器)を載せる食卓を意味している。…
※「経机」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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