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「ひょうはんき」とも読む。兵部卿(ひょうぶきょう)平信範(のぶのり)(1112―?)の日記。官と名からそれぞれ一字をとって後人が書名とした。別名『人車記(じんしゃき)』は、信・範の扁(へん)をとった書名。現在、21歳から60歳までのうち20年分が伝わり、自筆の清書本25巻もある。保元(ほうげん)の乱前後の記事は、『保元物語』を検討する好資料となっている。朝廷の公文書の作成過程について種々日記している点も貴重である。信範は摂関家近衛(このえ)家の家司(けいし)としても活躍した。彼の家柄は桓武(かんむ)平氏であるが、日記の家とよばれる流で、祖親信(ちかのぶ)をはじめ、父知信(とものぶ)、兄時信(ときのぶ)ら一族の日記も残っていて「平記(へいき)」と総称されるが、分量も『兵範記』に比べてはるかに少ない。『史料大成』所収。
[益田 宗]
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…平安末期の公卿,兵部卿平信範(1112‐87)の日記。〈ひょうはんき〉とも読み,記主の名から《人車記》《平信記》などともいう。記載は1132‐71年(長承1‐承安1)に及び,一部自筆本が伝来するが,欠脱も多い。信範は〈日記の家〉といわれた桓武平氏本宗の流れをくみ,平清盛の室時子の叔父にあたる。記事は詳細で,朝廷の儀式などのほか,保元の乱(1156)をはじめ,当時の複雑な京都の政治情勢や事件を知るうえで貴重な史料となっている。…
※「兵範記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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