兵範記(読み)ひょうはんき

精選版 日本国語大辞典 「兵範記」の意味・読み・例文・類語

ひょうはんきヒャウハンキ【兵範記】

  1. ( 兵部卿信範日記の意 ) 院政期の日記。巻数不明(自筆本二五巻分現存)。平信範著。長承元~承安元年(一一三二‐七一)のうち一七年分が現存。院政期の政治状況を伝える詳細な史料。人車記、平信記、平洞記、平隣記など異称が多い。へいはんき。

へいはんき【兵範記】

  1. ひょうはんき(兵範記)

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百科事典マイペディア 「兵範記」の意味・わかりやすい解説

兵範記【へいはんき】

平安時代末期の兵部卿(ひょうぶきょう)平信範(のぶのり)の日記。〈ひょうはんき〉とも読み筆者の名から《平信記(へいしんき)》《平兵部記》などともいう。記載は1132年から1171年に及び,自筆本が一部伝存するが,欠落も多い。信範は平清盛の室(しつ)時子の叔父で,保元(ほうげん)の乱などをはじめとする平安末期の政治情勢などを知ることができる。《兵範記》の料紙の裏面に書かれた紙背(しはい)文書(裏文書)が多数見られることでも知られる。→平時子
→関連項目方上荘

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改訂新版 世界大百科事典 「兵範記」の意味・わかりやすい解説

兵範記 (へいはんき)

平安末期の公卿,兵部卿平信範(1112-87)の日記。〈ひょうはんき〉とも読み,記主の名から《人車記》《平信記》などともいう。記載は1132-71年(長承1-承安1)に及び,一部自筆本が伝来するが,欠脱も多い。信範は〈日記の家〉といわれた桓武平氏本宗の流れをくみ,平清盛の室時子の叔父にあたる。記事は詳細で,朝廷儀式などのほか,保元の乱(1156)をはじめ,当時の複雑な京都の政治情勢や事件を知るうえで貴重な史料となっている。《史料大成所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵範記」の意味・わかりやすい解説

兵範記(へいはんき)
へいはんき

「ひょうはんき」とも読む。兵部卿(ひょうぶきょう)平信範(のぶのり)(1112―?)の日記。官と名からそれぞれ一字をとって後人が書名とした。別名『人車記(じんしゃき)』は、信・範の扁(へん)をとった書名。現在、21歳から60歳までのうち20年分が伝わり、自筆の清書本25巻もある。保元(ほうげん)の乱前後の記事は、『保元物語』を検討する好資料となっている。朝廷の公文書の作成過程について種々日記している点も貴重である。信範は摂関家近衛(このえ)家の家司(けいし)としても活躍した。彼の家柄は桓武(かんむ)平氏であるが、日記の家とよばれる流で、祖親信(ちかのぶ)をはじめ、父知信(とものぶ)、兄時信(ときのぶ)ら一族の日記も残っていて「平記(へいき)」と総称されるが、分量も『兵範記』に比べてはるかに少ない。『史料大成』所収。

[益田 宗]


兵範記(ひょうはんき)
ひょうはんき

兵範記

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「兵範記」の意味・わかりやすい解説

兵範記
へいはんき

平安時代後期の廷臣平信範 (1122~87) の日記。『人車記』『平信記』『平洞記』『平兵部記』ともいう。長承1 (1132) 年から承安1 (71) 年までのうち 19年分が知られる。大部分は自筆本で,京都大学に 25巻,京都陽明文庫に 30巻がある。信範は政府の機密に参与していたので,保元の乱,高倉天皇即位関係の記事は精密をきわめ,平安時代末期の貴重な史料である。

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旺文社日本史事典 三訂版 「兵範記」の解説

兵範記
へいはんき

平安末期,兵部卿平信範 (のぶのり) の日記
「ひょうはんき」とも読み,『人車記』ともいう。1132〜71年の記事があり,保元の乱・高倉天皇即位など,当時の政治・社会情勢を知るうえで重要な史料。

兵範記
ひょうはんき

へいはんき

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世界大百科事典(旧版)内の兵範記の言及

【兵範記】より

…平安末期の公卿,兵部卿平信範(1112‐87)の日記。〈ひょうはんき〉とも読み,記主の名から《人車記》《平信記》などともいう。記載は1132‐71年(長承1‐承安1)に及び,一部自筆本が伝来するが,欠脱も多い。信範は〈日記の家〉といわれた桓武平氏本宗の流れをくみ,平清盛の室時子の叔父にあたる。記事は詳細で,朝廷の儀式などのほか,保元の乱(1156)をはじめ,当時の複雑な京都の政治情勢や事件を知るうえで貴重な史料となっている。…

※「兵範記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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