もとになった犯罪から,その罪(基本犯)を超える重い結果が発生したとき,そのことを理由に基本犯よりも刑を加重して処罰している罪。たとえば,人を傷害したところ被害者が死亡した場合に適用される傷害致死罪(刑法205条)は,死亡という結果を理由に傷害罪(204条)よりも重い刑が定められている。法文に〈因って〉という語で基本犯と重い結果とを結んで規定されていることが多い。基本犯は故意犯が通例だが,過失犯の例(公害罪法(略称)3条2項)もある。重い結果について故意は必要でない。判例によれば,過失も不要で基本行為と重い結果との間に因果関係があればよい。しかし多数の学説は,結果責任を排除するため過失を必要とするとしている。他方,因果関係が相当な場合(相当因果関係)に限れば重い結果の予見が不可能な場合は除かれ,過失は不要とする見解も根強い。改正刑法草案は予見可能性を必要としたが,いずれの立場とも理解できる。
執筆者:田中 利幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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