絵高麗(読み)エコウライ

デジタル大辞泉 「絵高麗」の意味・読み・例文・類語

え‐こうらい〔ヱカウライ〕【絵高麗】

《「えごうらい」とも》白泥土で化粧がけした素地の上に、鉄砂釉てっしゃゆう文様が描かれた陶器江戸時代には李朝りちょう時代の朝鮮産をさしたが、近年中国磁州窯のものもいう。

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精選版 日本国語大辞典 「絵高麗」の意味・読み・例文・類語

え‐こうらいヱカウライ【絵高麗】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「えごうらい」とも ) 焼物の一つ。有色の素地を白泥土で化粧し、黒、褐色絵の具で絵や文様が簡素に描かれた中国磁州窯系のもの。江戸時代、「高麗わたりの焼物」の意で称したもの。当時は李朝時代の朝鮮産をさしたが、近年は中国華北磁県産によって代表される磁州窯の類が同種なので、これにも用いられる。
    1. [初出の実例]「絵高麗。寛永手鑑にいはく、三百年之物、地薬青き物にていろいろ紋有、よって絵高麗と云也」(出典:和漢諸道具見知鈔(1673‐81)高麗焼物之類)

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改訂新版 世界大百科事典 「絵高麗」の意味・わかりやすい解説

絵高麗 (えごうらい)

高麗焼(朝鮮産の陶磁器の古いよび名)のうちで鉄絵文様のあるものという意味であるが,古くは中国陶磁の鉄絵文様のあるものもこの名でよばれた。江戸時代の茶人が珍重した絵高麗梅鉢茶碗の類は,中国北部民窯の製品である。近代になって,高麗時代の古墳から出土した高麗青磁の中に,鉄絵文様のあるものがあり,これも絵高麗とよばれた。また中国宋・元時代の陶磁器が注目されるようになると,それらの中に少なからず含まれた北部民窯産の鉄絵文様のある陶磁器も,絵高麗とよんだ。それぞれ作風の異なるものを同じ名前でよぶことの不合理から,この名称は近年では一般にあまり使われなくなっている。
高麗茶碗
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絵高麗」の意味・わかりやすい解説

絵高麗
えごうらい

朝鮮,中国産の焼物で,白色釉の上に黒や褐色の鉄釉で簡単な絵や文様を上絵付けしたもの。「絵高麗」の呼称は江戸時代中期頃から日本の茶人の間で使われ,朝鮮や中国から輸入されたこの手の焼物を総称した。朝鮮の李朝中期頃,鶏竜山窯などで焼かれた絵青磁が最も多い。

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