朝鮮、李朝(りちょう)時代の名窯。韓国(大韓民国)忠清南道(ちゅうせいなんどう/チュンチョンナムド)公州(こうしゅう/コンジュ)市反浦面鶴峰里に位置する鶏竜山の山麓(さんろく)に古窯址(し)が広がる。そのうち1927年に調査された最大の古窯址は、長さ41.5メートルの割竹式連房式登窯(のぼりがま)で、13房からなり、各房には焚口(たきぐち)と色見孔が設けられてあった。その物原(ものわら)からは三島暦手(こよみて)、刷毛目(はけめ)、彫(ほり)刷毛目、絵(え)刷毛目、青磁、白磁、黒釉(こくゆう)陶など李朝前期を代表する陶片が認められ、この時期の民窯の雄と考えられるに至った。古窯は東鶴寺周辺、バスターミナル北側旅館裏、沙器所国民学校後方の3地区に集約され、中国の年号を使って景泰元年(1450)から嘉靖(かせい)15年(1536)までの銘文のある陶製墓誌が伴出しているところから、15世紀中葉から16世紀中葉が最盛期であったことがわかる。ただ東鶴寺周辺の窯址からは李朝後期の白磁や染付が出土しており、18世紀にも窯が活動していたことを物語る若干の資料となっている。製品のなかでは絵刷毛目がもっとも魅力に富んでおり、他窯ではまだ陶片がみつかっていないため、鶏竜山窯独自のものと考えられている。
[矢部良明]
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…施文方法は高麗青磁から受け継いだ印花文,象嵌文が行われ,搔落し(かきおとし),線刻,鉄絵とつづき,刷毛目,粉引へと発達した。印花は日本では三島手と呼ばれるものであり,鉄絵は鶏竜山窯が名高い。軟らかな陶胎の上に,力強い線で魚文や唐草文をさっと描いた鶏竜山窯の鉄絵は,日本人にも愛玩され,やがてその技法は日本の絵唐津へ受け継がれることになる。…
…李朝は,国初から全国の窯を整備し,《世宗実録地理志》には,磁器所136ヵ所,陶器所186ヵ所が記され,三島,刷毛目などは各地で生産されていたことがわかる。忠清南道の鶏竜山窯はその精緻な技法で名高い。最盛期は15世紀といわれ,16世紀になると,白土で表面を覆ったものが多くなり,16世紀末の文禄・慶長の役以後,半島南部の三島,刷毛目を焼いた窯の多くは,白磁窯に転じていった。…
…粉青沙器はともに灰色や灰黒色の胎土に白泥を塗布して,その上から透明釉を施したものであるが,刷毛目は白泥を刷毛で塗ったもので,刷毛を使わずに白土の泥漿(でいしよう)にひたして白化粧掛をしたものは粉引と呼んでいる。これらは15世紀を最盛期に,主として南部地方でつくられたが,特に忠清南道の鶏竜山(けいりゆうざん)窯が優れた作行(さくゆき)を示して有名である。 前期には粉青沙器とは別に,中国の元・明初の白磁や青花の影響によって白磁が焼造されている。…
※「鶏竜山窯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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