(読み)ゼン

デジタル大辞泉 「繕」の意味・読み・例文・類語

ぜん【繕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ゼン(呉) [訓]つくろう
破れたところなどを直す。「営繕修繕
[名のり]よし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「繕」の意味・読み・例文・類語

つくろ・う つくろふ【繕】

〘他ワ五(ハ四)〙 (動詞「つくる(作)」の未然形接尾語「ふ」のついた「つくらふ」の変化した語)
[一] こわれたり、いたんだりしたものをつくり直して、もとの状態にもどす。
① 破損したところを修理する。修復する。
書紀(720)斉明四年是歳(北野本訓)「城柵(しき)を繕修(ツクロヒ)山川を断(た)ち塞(ふた)く兆(きさし)なり」
随筆・孔雀楼筆記(1768)二「家なるはそこなひ候て、つくろはせに外へ出し侍るにつき」
② いたんだ体を治療する。体の回復をはかる。
※観智院本三宝絵(984)下「身にあしきかさいでつくろへどもやまざりき」
源氏(1001‐14頃)浮舟「御風よくつくろはせ給へ」
[二] 不十分で整っていないものに取捨の手を加えて、よりよい状態にする。
① 手を加えて見た目をよくする。手入れする。飾りたてる。化粧する。めかす。
※書紀(720)雄略七年是歳(前田本訓)「天下の麗人(かほよき)は吾が婦に若くは莫し〈略〉鉛花(いろ)も御(ツクロハ)ず、蘭沢も加(そ)ふること無し」
※栄花(1028‐92頃)初花「行幸も近うなりぬれば、殿の内をよろづにつくろひ磨かせ給」
② あれこれ気をくばり欠けるところがないようにする。体裁をととのえる。きよめる。補いととのえる。準備する。設定する。
※書紀(720)天武元年六月(北野本訓)「兵を百済の家に繕(ツクロヒ)て南の門より出づ」
③ 人聞きのよいよう、また、破綻のないようにことばをかざったり、うまくふるまったり、とりなしたりする。
※能因本枕(10C終)五七「若き人々は、ただ言ひにくみ、見苦しき事になん、つくろはず言ふ」

つくろい つくろひ【繕】

〘名〙 (動詞「つくろう(繕)」の連用形名詞化) つくろうこと。修理、修復、治療、また、修飾、化粧などをすること。外見の体裁を整えること。とりつくろうこと。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一二月三〇日「鉄漿(はぐろめ)つけなど、はかなきつくろひどもすとて」
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一二「繕(ツクロヒ)は綻(ほころ)びるを持前とする」

つくら・う つくらふ【繕】

〘他ハ四〙 =つくろう(繕)
※俳諧・葛の松原(1692)「詞をつくらひ、やさしくせむとする人は、精進をいもいといひ」
※人情本・閑情末摘花(1839‐41)初「人目繕(ツクラ)ふ真面(まじめ)な挨拶」

つた・う つたふ【繕】

〘他ハ四〙 療治する。手当てする。
※宇治拾遺(1221頃)三「かくて月ごろよくつたへば、やうやう躍りありく」

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