養蚕農家が作る繭の大部分は製糸業者に販売されるが,その売買取引が公正かつ円滑に行われるよう,取引される荷口の繭について,製糸原料としての経済価値に関係のあるおもな性状を一定の基準によって検査すること。繭の経済価値は,繭を繰糸して得られる生糸量の多少(糸量価値),繭から生糸を作るのに要する加工費の多少(解舒(かいじよ)価値),繭から作られる生糸品質の良否(品質価値)の三つの要素にかかわる性状によって評価されるが,繭の性状はカイコの品種,蚕期,作柄などによって大きく異なる。したがって,一般の農作物のようにその外観や目方だけでは,その経済価値を決めることはきわめて困難である。そのため,日本では蚕糸業法に基づき,農林水産省令で決められた繭検定規則に従い,各都府県に設置されている繭検定所において,取引される繭荷口の中から抽出した検定供用繭について繭検定を受け,その成績によらなければ繭の売買取引はできないこととなっている。繭検定は,肉眼によって検定供用繭中に混入する不良繭を一定の基準により選除し,選除繭歩合(検定供用繭に対する不良繭量の割合)を算出する。供用繭から不良繭を除いた精繭について繰糸検査を行い,生糸量歩合(一定量の繭を繰糸して得られる生糸量の割合),繭糸長(1粒の繭から得られる繭糸の長さ),解舒率(繰糸中の繭糸の切断数の多少)などを検査し,解舒価値にかかわる解舒率と品位価値にかかわる繭糸長成績を総合して繭格を決める。その等級は上位から優等格,1等格,2等格,3等格および4等格の5等級に分けられている。糸量価値は生糸量歩合の成績をもって表す。
執筆者:小河原 貞二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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