羊斑(読み)ヨウハン(その他表記)flocculi

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改訂新版 世界大百科事典 「羊斑」の意味・わかりやすい解説

羊斑 (ようはん)
flocculi

フロキューリあるいは彩層白斑facular plageともいう。太陽面を特定の波長の強い吸収線だけを通す単色フィルターで観測するとき見られる細かい明るい模様のこと。写真はカルシウムのK線(3933Å)の単色太陽像であり,白く見えるのが羊斑である。太陽全面に網目状に分布して見られるが,黒点のまわりの太陽活動域でとくに明るく広がって見える。活動域の広がった羊斑はとくにプラージュplageと呼ばれるのがふつうである。網目構造は超粒状斑と呼ばれる径3万kmの対流セルの縁を表している。対流の縁には掃きよせられた強い磁場が存在し,周囲に比べて数百Kから1000Kほど温度が高いため明るく見える。温度が高いのは強い磁場と関係があり,磁力線に沿ってコロナから強い熱伝導が起きているためと考えられる。羊斑は彩層の高さにあるが,その下部の光球には白斑があるのがふつうで,これは白色光で太陽の縁近くに明るい斑点として見ることができる。
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百科事典マイペディア 「羊斑」の意味・わかりやすい解説

羊斑【ようはん】

フロキューリ,彩層白斑ともよばれる。水素のHα線,カルシウムのH線,K線等の単色光で太陽面を観測するとき見られる細かい明暗の模様。Hα線では短い繊維状で彩層の中央部,K線では粒状で彩層の上部に相当する。明るい羊斑は周囲より温度が高いことを表し,その面積増減は太陽活動と密接に関係する。活動域の広がった羊斑は,とくにプラージュとよばれる。
→関連項目彩層

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「羊斑」の意味・わかりやすい解説

羊斑
ようはん

太陽面現象の一つ。プラージュplageともいう。Hα単色像で彩層を調べた際に、黒点近傍で明るく見える羊毛のような模様をさす。

[編集部]

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