彩層(読み)さいそう(英語表記)chromosphere

  • 彩層 chromosphere

翻訳|chromosphere

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

太陽大気の下層部。色圏ともいわれる。光球コロナの間に広がる厚み数千 kmの部分。皆既日食時,太陽全体が月に隠される寸前,光球の外側に赤く光って見えることからこの名がつけられた。日食時以外でも,スペクトロヘリオグラフコロナグラフを用いて観測ができる。彩層の下層部は比較的一様であるが,上層部はスピキュールと呼ばれるガス塊が噴出している。彩層の温度はおよそ 5000~50万Kで高さとともに上昇する。

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百科事典マイペディアの解説

太陽の光球の外側にある厚さ約2〜34kmの大気層。皆既日食の際,赤く輝いて見えるためこう呼ばれたが,現在ではコロナグラフを用い日常観測できる。水素の線スペクトルが特に強いため赤く見え,他にヘリウム,電離カルシウム,多くの鉄の線スペクトルが含まれる。光球を背景として見るときこれらは吸収スペクトルとなりいわゆるフラウンホーファー線を生ずる。彩層は太陽面に突き刺さった針状の部分(スピキュール)とその間のガス領域からなり,温度は彩層下部では4300Kほどだが,彩層では6000〜1万Kに達する。→羊斑

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世界大百科事典 第2版の解説

ふだん肉眼で見える太陽の光球のすぐ外側に位置する厚さ2~34kmの薄い層のこと。皆既日食のとき,皆既の直前と直後にコロナの内側弧状に赤く輝いて見える。赤く見えるのは彩層が水素のHα線(波長6563Å)を強く放射するからである。Hα線だけを通すリヨ・フィルターで太陽面を見ると,たいへん非均質な彩層の構造を見ることができる。彩層の構造は太陽面に突き刺さった針状のスピキュール群とその間の温度約6000Kのガス領域からなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

太陽光球の外側にある厚さ2000~3000キロメートルのガス層。光球に比べて磁場の影響を受けやすいので、磁場に起因する太陽の活動現象を調べるのに適している。皆既日食のとき、皆既の直前や直後に太陽を隠す黒い月の縁に赤く輝いて見える。水素の赤い輝線(波長656.3ナノメートル)を強く放射するため、彩層は赤く彩られて見える。太陽より低温の星やF型星にも彩層があり、星の活動現象を調べるのに役だっている。太陽と同じG型星でも自転速度の速いものや遅いものがある。速く自転している星は彩層がより活発であり、誕生して間近の若い星である。星はコロナから風を放出し、時間がたつとともに、自転が遅くなり彩層の活発さも弱くなる。

[日江井榮二郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 太陽大気の下部をいう。光球とコロナにはさまれた厚さ約二〇〇〇~三〇〇〇キロメートルの部分で、皆既日食のとき、光球の部分が月におおわれると、赤色に輝いてみえる。この赤色は水素の出すもので、光球より温度が高く、その上部ではおよそ二万度と推定される。彩球。

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世界大百科事典内の彩層の言及

【光球】より

…光球の最下層の温度は6400K,最上層では約4300Kである。その上に彩層と呼ばれる層があるが,ここでは逆に上の層ほど高温になっている。また光球の密度はおよそ10-7g/cm3で,圧力は105dyn/cm2,すなわち約0.1atmである。…

【太陽】より

…事実対流層の底は今まで考えられていたよりずっと深く,半径の7/10まで達していなければならないし,またそれより中の太陽の部分は表面よりも速く自転しているのではないかというような考えも出始めている。
[彩層]
 皆既日食のとき,太陽が月に隠されていき,ダイヤモンドリングが消えた途端に,接触点に近い月の周囲に沿って紅に輝く薄い層が見える。これが彩層である。…

※「彩層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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