羊水塞栓

六訂版 家庭医学大全科 「羊水塞栓」の解説

羊水塞栓
(女性の病気と妊娠・出産)

 羊水塞栓はお産の最中または出産の直後に、突然の呼吸困難、胸部苦悶(くもん)感が生じ、不穏状態、けいれん、ショック状態、呼吸停止、DIC播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群)、心停止を起こして死亡する、お産の合併症としては最も重症予後の悪い(死亡率は60~70%といわれている)疾患です。

 2~3万分娩に1例と発生はまれですが、予測が事実上不可能で、ひとたび発症すると急速に進行するため、診断がつかないまま死亡する例も多く、亡くなったあとの解剖所見で初めて診断がつくこともあります。

 羊水とそれに含まれている胎児の成分(胎脂、胎便、胎児の皮膚細胞など)が、子宮から母体の血管に流れ込んで、主に肺の血管に詰まるとともに、全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー反応)を起こすと考えられています。呼吸循環障害とともに大量の出血を伴うことも多く、現代の最新医療技術を用いても依然として救命が難しい疾患です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android