常位胎盤早期剥離(読み)じょういたいばんそうきはくりそうはく(その他表記)Premature Abruption of Normally Implanted Placenta

家庭医学館 「常位胎盤早期剥離」の解説

じょういたいばんそうきはくりそうはく【常位胎盤早期剥離(早剥) Premature Abruption of Normally Implanted Placenta】

[どんな病気か]
 胎盤(たいばん)は、胎児たいじ)が娩出(べんしゅつ)された後、5分ほどで子宮からはがれて娩出されます。常位胎盤早期剥離とは、前置胎盤(ぜんちたいばん)(「前置胎盤/低置胎盤」)とは異なり、胎盤の付着部位は正常なのですが、子宮口(しきゅうこう)が全開し、胎児が娩出される前に、胎盤が子宮からはがれるものをいい、部分的にはがれるものから、全部がはがれるものまであります。
 妊娠中期から後期におこることが多く、陣痛(じんつう)または月経痛のような痛みのあと、持続的な強い下腹部痛となります。間欠的な(間をおいた)痛みである陣痛と異なり、持続する強い痛みが特徴です。性器出血はほとんどみられないか、あっても少量です。ひどくなると、胎児が死亡したり、母体血液が固まらなくなる病気であるDIC(「播種性血管内凝固症候群(DIC)」)となったりします。おなかのうえから軽く触ってもとても強い痛みを感じます。
[原因]
 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)(「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」)の母親におこることが多いといわれています。子宮内胎児死亡の後におこることもあります。胎盤の一部が子宮壁から剥離し、そこで出血がおこり、その出血が徐々に広がり、もっと広く胎盤を剥離し、最後には胎盤がすべて子宮壁から離れてしまいます。
[検査と診断]
 多くの場合、症状から診断がつきますが、疑いがあれば超音波検査を行ないます。これによって胎盤と子宮筋の間に均一な出血した部分がみられます。その他、胎児の心拍子宮収縮の確認とともに、母親の貧血検査や血液凝固に関する検査が必要です。
[治療]
 常位胎盤早期剥離と診断がつけば、胎児の生死にかかわらず、多くの場合、ただちに帝王切開術(ていおうせっかいじゅつ)が行なわれます。また、血液が子宮の筋層内にしみこみ、止血できなければ、子宮摘出が必要となることもあります。母体の貧血やDICに対しては、輸血や、さまざまな薬の使用と、十分な観察が必要となります。
●日常生活の注意と予防
 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の母親に発生することが多い病気ですから、妊娠中の食生活などに注意し、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とならないようにすることがたいせつです。また、胎盤の付着部に強い打撲を受けたときもおこることがありますので、妊娠中の行動は控えめにする必要があります。子宮内胎児死亡とわかれば、胎児を早く娩出することが必要です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常位胎盤早期剥離」の意味・わかりやすい解説

常位胎盤早期剥離
じょういたいばんそうきはくり
premature separation of the normally implanted placenta

正常の位置にある胎盤が,胎児の娩出より前に子宮壁からはがれること。妊娠中毒症で起りやすいが,原因不明のこともある。胎児は酸素が欠乏するために死亡することが多い。母体も,出血によって危険に陥る。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

妊娠・子育て用語辞典 「常位胎盤早期剥離」の解説

じょういたいばんそうきはくり【常位胎盤早期剥離】

正常な位置にある胎盤に異常が起きて、赤ちゃんの出産前に胎盤がはがれてしまうトラブルです。妊産婦本人および赤ちゃんにも予後が重い病気です。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む