家庭医学館 「胎児死亡」の解説
たいじしぼう【胎児死亡 Fetal Death】
妊娠の期間にかかわりなく、胎児が母体から娩出(べんしゅつ)される前に死亡することを胎児死亡といいます。
[原因]
胎児死亡をおこす母体側の原因には、糖尿病(「糖尿病」)、膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)、血液型不適合妊娠(「血液型不適合妊娠」)、過期妊娠(かきにんしん)(「過期妊娠」)などがあります。胎児側の原因には、胎児の形態異常、染色体異常、風疹(ふうしん)(「風疹(三日ばしか)」)・梅毒(ばいどく)(「梅毒」)・エイズ(「エイズ/HIV感染症」)などの感染症などがあります。さらに、重症の妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)(「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」)や原因不明の胎児発育遅延などもその代表的な例です。また胎盤(たいばん)や臍帯(さいたい)(へその緒(お))の異常に原因があるものでは、常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)(「常位胎盤早期剥離(早剥)」)、双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)(コラム「双胎間輸血症候群」)、臍帯過捻転(かねんてん)、破水に引き続く臍帯脱出などがありますが、原因不明のものも少なくありません。
[検査]
超音波断層法などで心拍動(しんぱくどう)の消失を確認したり、超音波カラードップラーで、心臓や血管の血流の消失を確認することで診断できます。
診断が確定したら、すみやかに胎児の娩出(べんしゅつ)をはかります。
[予防]
お母さんが胎児死亡を予知または確認するのは大変むずかしいことですが、おなかの中の赤ちゃんの胎動(たいどう)が、弱くなったり消えたりしないか、よく注意していましょう。
お母さんにほかの病気がある場合には、主治医の指導のもとで十分に病気を管理します。また、胎児の発育などを頻繁(ひんぱん)にチェックすることもたいせつです。
しかし、突発的におこった胎児死亡に対しては、迅速な対応ができない場合がほとんどです。