翻訳|airfoil
飛行機やグライダーの翼の断面の形。普通は機体の進行方向、つまり前後軸に平行な断面をとるが、後退翼や前進翼では翼の基準線(25パーセント弦線)に直角な断面をとる場合もある。また、プロペラのブレードやヘリコプターのローターの断面も翼型とよび、翼の場合と同じに扱っている。翼型は飛行機(またはグライダー)の性能を直接に左右するので、翼の強度や構造に関連させ、設計目標に適合するように選定される。
[落合一夫]
飛行機は誕生以来、翼型の研究と相まって発達してきた。初期には設計者自身が翼型を考案し、鳥の翼に倣った薄くて反りの大きな断面であったが、そのほとんどは実験によって得られていた。しかし、第一次世界大戦の終了近くから、翼型の理論的研究が行われるようになり、厚くて揚力が大きく、そのわりに空気抵抗の少ない翼型がつくられ、高速飛行に適する片持(かたもち)単葉機ができるようになった。当時の代表的な翼型には、ドイツのゲッティンゲン大学の387番翼型、アメリカのクラークのY翼型、同じくムンクのM6、M12翼型、イギリスのグロワートの一連のRAF翼型などがある。
[落合一夫]
30年代に入ると、アメリカのNACA(現在のNASA(ナサ)の前身)のヤコブスによって翼型の系統的な研究が行われ、四字系列に始まるその研究の成果は、その後の翼型の研究・開発の主流となった。この翼型は、中心線と厚さ分布の組合せを数字的に表現するもので、四字系列に続いて五字系列、さらに1、6、7シリーズといった層流部分を長く保って抵抗を少なくした一連の層流翼型がつくられた。現在も中・低速機用の翼型は、このNACA翼型そのものか、これに多少の手直しを加えた修正翼型が用いられている。
[落合一夫]
遷音速・超音速機の出現によって、翼型は大きく変わった。すなわち、翼面上に発生する衝撃波の影響をできるだけ小さくするようにくふうされた翼型が用いられるようになった。最初は普通の層流翼型が用いられたが、この翼型は、翼上面の負圧分布がなだらかなためルーフトップ翼型とよんで新しい翼型と区別している。次に、前縁部近くに負圧の最低値を置き圧力分布にピークをもたせ、衝撃波発生時の圧力上昇を緩やかにするピーキー翼型が実用化された。その後、ピーキー翼型と同じようにした衝撃波による圧力上昇の影響を抑えるように翼上下面の曲率を大容量のコンピュータによって精密に計算した超臨界(スーパークリチカルsupercritical)翼型も実用化されている。このピーキーとスーパークリチカルの二つの翼型はコンピュータの発達なしには得られなかったもので、いわばコンピュータの落とし子ともいえる翼型である。超音速になると、翼型はできるだけ薄く、また前縁がとがっているほうがよく、楔(くさび)型、レンズ型、ダイヤ型などの翼型が用いられる。しかし、超音速機といってもごく特殊な機種以外は、離着陸や待機(ホールディング)などの低速飛行も行うので、それを考慮した翼型が必要である。
また、翼型の研究だけでなく、翼全体を考え合わせて翼型の特性をより高めようとする三次元的な翼の設計が行われている。
[落合一夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 パラグライダー用語辞典について 情報
…翼は他の物体に比べ,とくに大きな揚力が発生し,逆に抗力は小さく,揚力が抗力の数十倍にも達する。これは翼が板状でそれを適度な迎え角で動かすからでもあるが,翼型のくふうによるところが大きい。
[揚力の発生]
翼型はふつう抵抗を減らすため魚のような形をしているほか,全体が上に反っていて上面が下面よりふくらんでいるものが多い。…
※「翼型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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