六訂版 家庭医学大全科 「老人性脂腺増殖症」の解説
老人性脂腺増殖症
ろうじんせいしせんぞうしょくしょう
Senile sebaceous hyperplasia
(皮膚の病気)
どんな病気か
中年から高齢者、とくに男性の顔面に生じる特徴的外観を示す黄色調の
原因は何か
加齢による変化と考えられますが、シクロスポリンなどの免疫抑制薬や
症状の現れ方
顔面とくに前額部、頬部、鼻の周囲に径数㎜の黄色または白色の丘疹ないし小結節がみられます。表面は平滑で、中心部がへそのようにくぼんでいるのが特徴です。
ひとつだけのこともありますが、多発することがしばしばです(図38)。
検査と診断
特徴のある臨床像から診断できますが、
若年者に生ずる場合は脂腺の増殖を促す男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌異常や免疫不全の有無についても検査が必要です。
治療の方法
美容的観点から希望により治療が行われます。切除が確実ですが、液体
通常は自然に治ることはありませんが、副腎皮質ステロイド薬の内服によって誘発された場合は減量に伴って軽快したという報告があります。
病気に気づいたらどうする
老人性脂腺増殖症の症状はあまり問題はありませんが、悪性腫瘍との区別、背景としての免疫不全に注意が必要です。一度は皮膚科専門医に相談してください。
末木 博彦
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報