日本大百科全書(ニッポニカ) 「耳管開放症」の意味・わかりやすい解説
耳管開放症
じかんかいほうしょう
正常時は閉鎖している耳管が開放したままの状態になる耳の病気。耳管は耳の奥にある中耳腔(ちゅうじくう)と鼻の奥にある鼻咽腔(びいんくう)をつなぐ管で、大気と中耳の圧を均一に保つ働きをしている。この耳管が開いたままになると、耳がふさがるような耳閉感や自分の声が大きく聞こえる自声強聴(自声強調)、めまいなどの症状を伴い、軽度の難聴を伴うこともある。また長期間持続すると精神不安定となることもある。原因はよくわかっていないが、急激な体重減少などが原因となることがあり、耳管の周りの軟部組織や筋が萎縮(いしゅく)することなどによって起こると考えられる。前かがみの姿勢や寝る姿勢をとると症状が軽減されることがある。決定的な治療はなく、軽度のものは放置して寛解することもあるが、改善がみられない場合は、耳管咽頭(いんとう)口(鼻側の開口部)に薬剤を塗布あるいは注入して腫脹(しゅちょう)させたり、耳管内腔に炎症を起こさせる薬剤を注入して耳管を狭くするなどの治療も検討する。漢方薬が有効な場合もある。
[編集部]