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聖母子像 せいぼしぞうMadonna and Child

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

聖母子像
せいぼしぞう
Madonna and Child

聖子イエス・キリストを伴う聖母マリアの図像表現。マリアの生涯からの諸場面とは別に,単独で崇拝,祈願の対象となる。聖子を膝の上に抱く聖母像は 300年前後のカタコンベの壁画や石棺の浮彫などに,東方三博士の礼拝図の一部としてすでに表わされていた。単独の祈念像としてその神学的意義が明確になったのは,エフェソス公会議(431)でマリアが彼の母として確認されて以来のことであり,そののち急速に聖母子像の多様な表現が生まれた。基本的な型として以下のようなものがある。
(1) 玉座の聖母子 聖母は主として正面,ときにわずかに左右にかたよって玉座に座し,聖子を膝の上あるいは胸の前に抱く。神の受肉と聖母が神の母であることを示す最も基本的な型。エフェソス公会議後まもなく建てられたローマのサンタ・マリア・マジョーレ聖堂(432~440)の旧祭室を飾っていたのはこの型。現存例としてはイコン崇敬の復活を祝って 867年につくられたイスタンブール,ハギア・ソフィア祭室モザイクが重要。いわゆるニコポイア(勝利をもたらすもの)の聖母はこの型に属する。(2) ホデゲトリア(道案内)の聖母 左腕で聖子を抱き右手でこれをさし示す。立像,坐像の両者あり,伝承によれば聖ルカが直接に聖母子を写したイコンが最初とされる。作例はモザイク・イコン,アトラス山キランダリウ修道院(1200頃)。(3) プラテュテラの聖母 聖母は正面を向き,両手をあげて祈る姿に表わされ,その胸には聖子の半身を描いた円盤をかける。作例はベネチア,聖マリア・マーテル・ドミニ聖堂,大理石浮彫 (1200頃) 。(4) マリア・ラクタンス,あるいはガラクトロフーサ エジプトのバウィット,アポロ修道院壁画(6世紀)などに最初に現れる聖子を膝に抱いて授乳する聖母。古代エジプトのホルス神に授乳するイシス女神が原型といわれるが,ローマ,プリスシラのカタコンベ壁画(3世紀前半)にも聖母子とおぼしき授乳する母子像が見られ,古代の民俗的母性崇拝から生まれた型であることを思わせる。(5) エレウーサ(憐れみの聖母) 立像坐像さまざまであるが,いずれも聖母子は頬を寄せ合い,聖子は片手で巻物を持ちながら,別の腕で聖母の首を抱く。作例は『ウラジーミルの聖母』(12世紀初,トレチヤコフ国立美術館)。

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