胴欲(読み)ドウヨク

デジタル大辞泉 「胴欲」の意味・読み・例文・類語

どう‐よく【胴欲/胴×慾】

[名・形動]《「どんよく(貪欲)」の音変化》
非常に欲の深いこと。また、そのさま。「―な人」
思いやりがなく、むごいこと。また、そのさま。非道。
「さりとは―な」〈浮・禁短気・二〉
[派生]どうよくさ[名]
[類語]欲張るむさぼるがっつくむさぼり食う欲しがる欲の皮が張る欲深い欲張り欲深貪欲がめつい強欲慳貪あこぎ多欲貪婪業突く張り

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「胴欲」の意味・読み・例文・類語

どう‐よく【胴欲・胴慾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 非常に欲の深いこと。また、そのさまやそのような欲望
    1. [初出の実例]「晴賢に悪心とうよくの心候はは、正儀はあるましく候」(出典:毛利家文書‐天文二三年(1554)四月一六日・毛利隆元書状)
    2. 「不慈悲、不義理、不行義、胴欲(ドウヨク)深く、よろづひがごとのみをおこなひて」(出典:仮名草子・可笑記(1642)一)
  3. 人情にそむく非道なこと。また、そのさま。無慈悲。
    1. [初出の実例]「如何にきりきざむやうに、どうよくで骨やなとをさすやうなそ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)四)
    2. 「年老い、殊更に目の見えぬ人を捨てて行かんとはどうよくなる言葉や」(出典:歌舞伎・一心女雷師(1699)四)

胴欲の補助注記

「どんよく(貪欲)」の変化した語という見方があるが、「どうよく」が生まれた中世後期頃には「貪欲」が「どんよく」ではなく「とんよく」であったこと、意味的に「貪欲」を継承していないこと、近世前期まで漢字表記の例がないことなどから疑問視されており、当時存在が確認されている強調の接頭語「どう」が「欲」に上接して成立したともされるが、これも決め手を欠いている。

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