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阿漕 アコギ

デジタル大辞泉の解説

あこぎ【阿漕】[地名・曲名]

阿漕ヶ浦」の略。
謡曲。四番目物世阿弥作という。旅僧が、阿ヶ浦で密漁をして海に沈められた漁師の霊から懺悔(ざんげ)物語を聞く。

あこぎ【××漕】

[名・形動]《禁漁地である阿漕ヶ浦で、ある漁師がたびたび密漁をして捕らえられたという伝説から》
しつこく、ずうずうしいこと。義理人情に欠けあくどいこと。特に、無慈悲に金品をむさぼること。また、そのさま。「阿漕な商売」「阿漕なまねをする」
たび重なること。
「阿漕のあまの―にも過ぎにし方を思ひ出でて」〈浄・丹波与作
[補説]曲名別項。→阿漕

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世界大百科事典 第2版の解説

あこぎ【阿漕】

能の曲名。四番目物。作者不明。河上神主作ともいう。シテは漁夫の霊。旅の僧(ワキ)が伊勢の阿漕浦を訪れる。来かかった老人(前ジテ)と言葉を交わし,土地に縁のある古歌などについて話し合う。老人は,この浦は殺生禁断の所だが,ある男が毎夜隠れて網を下ろしていたのが露見して殺されたことがあると物語り,自分こそその男の霊の仮の姿だと明かす(〈片グセ〉)。そのうち,にわかに海が荒れ出し,あたりの火も消え果てた闇の中に,老人の姿は消え失せる(〈ロンギ〉)。

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大辞林 第三版の解説

あこぎ【阿漕】

◇ ( 名 )
三重県津市の海岸の辺りの地名。昔、伊勢神宮に供える魚をとるための禁漁域であった。漁師が密漁して捕らえられたという話が謡曲「阿漕」などにあるが、「古今六帖」の「逢ふ事を阿漕の島にひく網のたび重ならば人も知りなむ」に基づく後世の付会とされる。「阿漕が浦」「阿漕の島」などと和歌に詠まれた。⦅歌枕⦆
[1][0] ( 形動 ) [文] ナリ 
の歌・伝説から、しつこくずうずうしい意を生じたもの〕
貪欲で無情なさま。強欲であくどいさま。 「 -なかせぎ方」 「 -な商売」
繰り返すさま。しつこいさま。 「阿漕の海士あまの-にも過ぎにし方を思ひ出で/浄瑠璃・丹波与作

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世界大百科事典内の阿漕の言及

【落窪物語】より

…落窪の君は継母のおとし入れをこえて,左大将の子の左近の少将と結ばれ,栄華を極めた。なお,姫君の忠実な侍女阿漕(あこぎ)の活躍も目立つ。姫君が継子としての辛酸をなめる境遇を具体的に描くと同時に,《宇津保物語》の名がその首巻で,俊蔭女とその子仲忠が木のうつぼに住んでいたことからつけられたように,空洞信仰の象徴としての意味をも落窪は有する。…

【阿漕浦】より

…海岸砂丘は松林が美しく,後背湿地は水田などに利用されている。謡曲《阿漕》で名高い親孝行の漁師平治をまつった阿漕塚,芭蕉の句碑,観海流泳術の元祖の碑などがある。この浦の北部にヨットハーバー,南部に日本鋼管の造船所が立地する。…

【勢州阿漕浦】より

…時代物。1段(2場―阿漕浦,平次住家)。1741年(寛保1)9月大坂豊竹座初演の《田村麿鈴鹿合戦》四段目を独立させ改名した作。…

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