六訂版 家庭医学大全科 の解説
脳下垂体腫瘍と視機能障害(半盲)
のうかすいたいしゅようとしきのうしょうがい(はんもう)
Pituitary tumor and visual disorder
(眼の病気)
どんな病気か
眼球でとらえた視覚情報は、眼球から視神経を通じて大脳の
視交叉では、視野の外側(耳側)を担当する視神経線維は交叉して反対側の
脳下垂体に腫瘍が生じると、視交叉の前方を下方から圧迫し、視神経線維を圧迫して、後述する両耳側
症状の現れ方
脳下垂体腫瘍による視交叉下方からの圧迫では、視交叉の中央部に位置する両眼視神経のうち、鼻側由来の視神経線維が障害されやすくなります。その結果、両眼の耳側視野が徐々に
また、下垂体腫瘍内での出血による急激な腫瘍容積の増大は、
元来、下垂体は成長ホルモンや乳汁分泌ホルモンなどさまざまなホルモンを分泌しており、腫瘍にもホルモンを過剰に分泌するタイプとそうでないタイプがあります。前者では、過剰に分泌されたホルモンによる作用、たとえば成長ホルモンが過剰に分泌されれば
検査と診断
視野検査で、両眼の耳側に視野障害があれば、両耳側半盲が疑われます。視野の耳側に狭窄が現れることは、緑内障をはじめ、ほかの眼疾患でも起こりえますが、区別するうえで重要な点は、視野障害が、視野の中心から上下に引いた垂直経線を尊重している(垂直経線を境に耳側のみに限られている)ことです。
その場合は、視交叉の近くの圧迫性病変が疑われるため、頭部CTやMRIといった画像診断により視交叉周囲の占拠性病変を精密検査する必要があります。
治療の方法
原因である下垂体腫瘍に対する脳外科的治療が必要です。詳しくは脳の病気の項(下垂体腺腫)を参照してください。
田口 朗
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報