重症急性膵炎で、びまん性(病変あるいはその状態が、一か所ではなく広範囲に広がっている様子)または限局性に膵実質が非可逆的壊死に陥ったもので、典型例では膵周囲脂肪組織の壊死を伴い、壊死性膵炎ともよばれる。症状は持続性の上腹部激痛で、背部痛を伴い、冷や汗、血圧下降、頻脈、乏尿、呼吸困難などのショック症状がみられ、また黄疸(おうだん)や発熱をみることもある。死亡率は高い。臨床的には、造影CTで膵実質に明らかな造影不良域が認められる。膵壊死組織への感染合併の有無で死亡率に著明な差があるため、感染性か非感染性かの鑑別は重要である。壊死部に感染が生じた場合は、開腹による膵壊死部摘除術が行われる。
[中山和道]