自動出改札(読み)じどうしゅっかいさつ

改訂新版 世界大百科事典 「自動出改札」の意味・わかりやすい解説

自動出改札 (じどうしゅっかいさつ)

鉄道などにおいて,旅客営業の主なる業務の一つである乗車券などの発売(出札),検査・入鋏(にゆうきよう)(改札)および回収(集札)の業務を機械によって自動化すること。出札における自動券売機,乗車券(定期券を含む)印刷発行機,改札における自動改札機,自動精算券売機,精算券印刷発行機などの自動化機械が実用化されている。

 これら出改札機械導入の歴史は古く,券売機は1929年国鉄(現JR)東京駅で手動式入場券券売機が,改札機は1927年12月上野~浅草間地下鉄開業時にターン型の改札機(10銭白銅貨使用)が使用されたのが最初である。乗車券を使用する自動改札機の使用は,ずっと遅れ,66年3月近畿日本鉄道での定期券専用型が最初である。ただし,このときの定期券は,パンチホール式であり,本格的な実用は,運輸省,国鉄,公営地下鉄,私鉄,そしてメーカーからなる日本鉄道サイバネテクス協議会の研究会で,磁気膜を使った乗車券(近距離用エドモンソン型乗車券・定期券)とこれに関連する機械の規格を決定した71年以降で,国鉄では71年柏駅試行のあと73年武蔵野線開業時に実用化している。なお,海外における自動出改札システムの開発は,早くからヨーロッパで進められ,1963年イギリスのロンドン地下鉄で導入以来,フランスのパリ地下鉄などで広く実用化されている。

自動改札機には,係員に代わって乗車券の検査と確認のための入鋏(パンチ)を行う改札専用機,出場にあたっての乗車券の検査と回収を行う集札専用機および両者の機能を備えた両用機の3機種がある。いずれの機械も,旅客が乗車券を投入口に投入すると,まずその大きさを判別し,切符と定期券に区分する。乗車券はベルトとローラーで構成された搬送路を通っていくが,その間,裏面磁気膜に記憶されている情報(通用期間,区間,経由,大人,小人など)を符号として磁気ヘッドで読み取り,有効,無効の判定を行う。判定の終わった切符は,改札機の場合,2mmの丸い穴を開けたうえ取り出し,旅客がこれを受け取る。集札機の場合,有効券は機械内に回収するが,集・改札機とも無効券のときは,ドアを閉じて警報を鳴らす。このほか機械内部には,旅客の動きを検知し制御する人間検知器,ドアを開閉する制御部もある。乗車券の送り速度は2m/sであるため,理論的には120人/min通過できるが,実用上,50人/min前後の値が自動改札機の能力とされている。
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