自然淘汰説(読み)しぜんとうたせつ

百科事典マイペディア 「自然淘汰説」の意味・わかりやすい解説

自然淘汰説【しぜんとうたせつ】

自然選択説とも。進化要因論として,C.ダーウィンとA.R.ウォーレス同時平行的に到達した説。生物原則として多産性で,そのために起こる生存競争の結果,環境により適応した変異個体が生存し,その変異を子孫に伝える。このため生物は次第に環境に適応した方向に向かって進化するという考え。ダーウィンはこの説を《種の起原》において本格的に論じ,それによって進化論は広く認知された。その後20世紀に入り,遺伝学分子生物学の裏づけを得て,現代の進化論の中でも中心的な位置を占めている。→進化論
→関連項目社会ダーウィニズム淘汰(生物)突然変異ネーゲリ

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法則の辞典 「自然淘汰説」の解説

自然淘汰説【theory of natural selection】

「自然選択説」ともいう.進化の要因としてチャールズ・ダーウィンが樹立した説である.生物の種は本来多産性を原則とし,そのために起こる生存競争のため,環境によりよく適応したものが子孫を残して,その変異を伝える確率が高くなる.

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世界大百科事典(旧版)内の自然淘汰説の言及

【ガウゼの法則】より

…食物や生活空間などの生活に必須な要求が似かよった近縁な2種は同一場所で共存することがむずかしく,種間競争によって最終的には必ず一方が他方によってそこから排除されてしまう,という仮説。このような考えはC.ダーウィンの自然淘汰説の主要な柱でもあったため,多くの研究者によって古くよりいろいろな形で主張されてきた。数式モデルによってこのような考えに理論的な考察を加えたのはボルテラV.Volterra(1926)とロトカA.J.Lotka(1932)が最初であるが,1934年にソビエトのガウゼG.F.Gauseが酵母菌とゾウリムシを用いて初めて詳細な実験的研究を行い,種間競争によって一方が他方を駆逐してしまうという現象を明確に実証したところから,後にこのような考えがガウゼの法則(仮説)と呼ばれるようになった。…

【自然淘汰】より

…これは原理的には比較的単純な概念で,(1)生物は一生の間に多くの子(卵,種子)を生ずるが,(2)生活に必要な資源(主として食物,光,水)には限りがあるからその全部が生き残ることはできないし,(3)実際,各生物の個体数は相対的に安定しているのであるから,全部が生き残ってはいない,(4)一方,同種生物の個体間にはさまざまな個体変異が存在しているのであって,これらの事実からすると,同種個体が生き残る確率は個体間で同一ではないと推論できる,というものであって,この不平等な生残り(または死亡)の過程を彼は自然淘汰と呼んだのであった。 この個体変異の少なくとも一部が,遺伝的なものであることは明らかな事実であるということから,生物の進化を説明しようとしたのが進化要因論としての〈自然淘汰説〉である。一方,ダーウィンは,多くの動物に見られる雌雄二形(性的二形)を上記の狭義の自然淘汰のみで説明することはできないと考えて,つがい相手をめぐっての雄どうしの競合(今日では雌による特定の雄の選択のほうが重要視されているが)に基づく雄の授精確率の不平等性を推論して,この過程を雌雄淘汰(性淘汰)と呼んだ。…

【進化論】より

…しかし両者の進化論は互いに独立に形成されたと見られている。19世紀になり,C.ダーウィンの自然淘汰説の先駆となる研究もいくつかあらわれたが,当時は注目されず,チェンバーズR.Chambersの著作《創造の自然史の痕跡》(1844)が自然神学との混合のような進化論ではあったが,一般の関心をよび多くの議論を起こさせた。C.ダーウィンの進化学説公表の直前にでたH.スペンサーの進化論では,進歩の観念との関係がきわめて密接である。…

※「自然淘汰説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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