翻訳|Nature
アメリカの思想家R・W・エマソンの代表的著作。1836年刊。1832年から翌33年の最初のヨーロッパ旅行の間に、宇宙と人間精神の照応に関する想を得て、精神の限りない解放を主題とするこの『自然論』を書いた。自然という名称でよばれる「非我(ノット・ミー)」、つまり精神を取り巻く外界は、ただ目に見える姿だけで終わってはいない。「もっと高尚で霊的な存在」がかなたにあり、精神は自然の限りない奥行きに入り込み、ついには普遍的な内在神「大霊(オーバーソウル)」と出会う。しかも無限の広がりと深みをもつ自然は、全体として「人間精神の比喩(メタファー)」であり、精神は自然と一体になって、自ら限りないものに変容するとエマソンは説く。
[酒本雅之]
『酒本雅之訳『エマソン論文集』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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