舎人部(読み)とねりべ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「舎人部」の意味・わかりやすい解説

舎人部
とねりべ

大化前代舎人出仕に必要な物資の負担者として設置された部。地方出身の舎人は主として東国の国造(くにのみやつこ)級豪族子弟で構成されたが、舎人部はこれらの豪族に隷属した貢納型部民で、在地の農民層よりなるものと推測される。ただ舎人部を、舎人を出仕させる豪族とは無関係に設置され、名代(なしろ)や屯倉(みやけ)の形で直接大和(やまと)王権が管理したとする説もあり、その実態についてはなお検討の余地があろう。

[加藤謙吉]

『直木孝次郎著『日本古代兵制史の研究』(1968・吉川弘文館)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「舎人部」の解説

舎人部
とねりべ

大化前代の部。朝廷に上番して大王(おおきみ)の近習護衛の任にあたった舎人を資養するために6世紀代に設置されたもので,国造(くにのみやつこ)制を前提としていた。この場合の舎人はおもに東国の国造の子弟であり,舎人をだした国造配下の人民の一部が舎人部とされ,彼らが貢納したものが国造を介して舎人の生活の資として提供される仕組みになっていた。なお舎人部はたとえば檜隈(ひのくま)舎人部が檜隈宮にちなむものであるように,その設定時の大王の宮号を冠した。

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世界大百科事典(旧版)内の舎人部の言及

【舎人】より

…〈とねり〉の名は〈とのはべり(殿侍)〉のちぢまったものという(《古事記伝》)。国造またはその一族は舎人直(とねりのあたい)として舎人を統率し,舎人部は舎人の管掌下に舎人の資養物を貢進することなどを負担し,舎人直―舎人―舎人部という階層関係がみられた。《日本書紀》における,大化以前関係の記載にみえる〈帳内〉(雄略即位前紀),〈兵衛〉(用明1年5月条),〈資人〉(崇峻即位前紀)のいずれにも〈とねり〉という古訓がつけられているが,それらの名のもとに制度が整っていたかどうかは疑問で,《日本書紀》の編者が,その撰述年代における知識をもって,大化以前の当該記事を修飾したものとされる。…

※「舎人部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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