羊毛繊維の特性を利用したフェルトの一種で、その縮絨(しゅくじゅう)のときに、宝相華(ほうそうげ)や花草人物などの模様をはめ込んだものを花氈とよんでいる。製作法には、踏み固め法と簀巻(すま)き法の二つがある。一つは、一定の枠の大きさに羊毛を適当な厚さに置き、アルカリ性液を注いで足で踏み固め、別に原毛染めした羊毛を模様どおりに置き、さらに踏み固めたものである。もう一つは、簀の上に羊毛を置き、前述の処理を施したのち、ぐるぐると巻き、上から足で踏み固めるものである。もと遊牧民族の所産であったが、飛鳥(あすか)・奈良時代には中央アジアから中国を通して舶載され、正倉院に多くの花氈が残されている。わが国でも下野(しもつけ)国(栃木県)で、古代にはヒツジを飼育し、氈(おりかも)を製作したという説がある。また1805年(文化2)には長崎奉行(ぶぎょう)が中国より毛氈製造技術者を招いて、技術導入を図っている。
[角山幸洋]
…繧繝(うんげん)彩色の大唐花文や草原で打毬をする人物像など唐代の文様が表されており,いずれも中国からの輸入品と考えられている。それらは当時,花氈(かせん)と称されていた。 以上のフェルトは今日,圧縮フェルト(プレスフェルト)と呼ばれる種類で,織物のようなたて糸・よこ糸の組織をもたず,引張りや摩擦に対する力は比較的弱い。…
…日本には奈良時代に中国あるいは朝鮮より舶載されたものが,東大寺の正倉院に伝えられている。なかに白地に藍の花卉(かき)文様,あるいは藍地に華麗な唐花文様を多彩にあらわしたものがあり,これらを特に〈花氈(かせん)〉と称している。フェルト【小笠原 小枝】。…
※「花氈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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