出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鎌倉末、南北朝時代の歌僧頓阿(とんあ)の家集。正編10巻、続編五巻。正編は四季、恋、雑(ぞう)、羇旅(きりょ)、哀傷、釈教、神祇(じんぎ)、賀の部立(ぶだて)よりなり、約1400余首を収録。1359年(正平14・延文4)ごろの成立とされる。続編は四季、恋、雑それに雑体と連歌(れんが)の組織で、560首、連歌100句を収録。この歌集の歌は、二条派の伝統である温雅な歌風を具備している。ために、室町時代、江戸時代を通して、二条派の歌風の典型として堂上派歌人たちに尊重され、『草庵集蒙求諺解(もうぎゅうげんかい)』(香川宣阿(せんあ))、『草庵集玉箒(たまははき)』(本居宣長(もとおりのりなが))などはじめ、多数の注釈書が刊行されている。
[稲田利徳]
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