葛西念仏(読み)カサイネンブツ

世界大百科事典 第2版の解説

かさいねんぶつ【葛西念仏】

江戸中期に江戸の葛西地方に流行した念仏踊で,近世初頭に常陸の泡斎(ほうさい)坊が唱導した〈泡斎念仏〉という乱舞形式の念仏踊の流れをくむ。泡斎念仏が気違念仏といわれたように一定の形式を持たず,物に狂ったように鉦・太鼓を笛にまじえて打ち鳴らし踊りながら江戸市中の大路を徘徊したが,幕末には衰滅した。葛西は同じころ葛西囃子を生み,半田行人(はんだぎようにん)(願人坊主)を生んだように独特の風土があった。【西角井 正大】

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大辞林 第三版の解説

かさいねんぶつ【葛西念仏】

江戸中期、武蔵国葛西に始まり江戸の市中を踊りまわった一種の踊り念仏。鉦かね・太鼓に笛を吹き念仏を唱えながら踊り歩いた。泡斎念仏。葛西踊り。
から出た、歌舞伎の下座音楽。鉦や太鼓・三味線を用い、物売りの出入りや寺院など寂しい場面、また立ち回りなどに用いる。

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精選版 日本国語大辞典の解説

かさい‐ねんぶつ【葛西念仏】

〘名〙
① 武蔵国葛西の農民が鉦、太鼓に笛を交え、江戸の大路を狂ったように踊り回った踊り念仏。泡斎という狂人法師の踊りに似ているので、泡斎念仏ともいった。葛西踊り。
※随筆・本朝世事談綺(1733)五「葛西念仏が躍る所一様ならず。左へ飛ぶあり、右へはねるあり」
歌舞伎下座音楽の一つ。①を模したものといわれ、太鼓と小型の念仏鉦で打つ囃子(はやし)。農家、土手場、寺などの寂しい場面、一人が傷ついてからの立ち回りなどに用いる。また三味線を入れて合方として用いる。
※歌舞伎・彩入御伽草(おつま八郎兵衛)(1808)辻堂の場「葛西念仏の鳴り物にて幕明く」

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世界大百科事典内の葛西念仏の言及

【泡斎念仏】より

…江戸時代初期から中期にかけて行われた。とくに江戸の葛西(かさい)地方で流行したので葛西念仏ともいう。慶長(1596‐1615)のころ,常陸(ひたち)(茨城県)の泡斎坊という僧が勧進のために始めたと伝える。…

※「葛西念仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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