蝋色塗(読み)ろいろぬり

精選版 日本国語大辞典 「蝋色塗」の意味・読み・例文・類語

ろいろ‐ぬり【蝋色塗】

  1. 〘 名詞 〙 漆工芸の塗りの技法一つ油分を含まない蝋色漆を塗り、木炭で研ぎ出し、種油角粉(つのこ)をつけてみがき光沢を出す。また、それを塗ったもの。「蝋色」は「黒い、の意)」の音を取ったものといわれ、元来は黒漆塗りをさすと考えられる。ろういろ。ろいろ。蝋塗り。ろういろぬり。
    1. [初出の実例]「ろいろぬりのたんす長持の」(出典:洒落本・契国策(1776)南方)

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食器・調理器具がわかる辞典 「蝋色塗」の解説

ろいろぬり【蝋色塗り】

漆(うるし)工芸の技法の一種。漆を塗ったはけ目を残さず、鏡面のような艶やかな光沢が出るように研磨する。油分を含まない漆(蝋色漆)を塗って乾燥させた後、木炭で平滑に研ぎ出した塗り面に生漆をすりこみ、余分な漆をふき取ったあと、研磨剤と油を用いて磨きあげる。研磨剤には角粉(つのこ)と呼ばれる鹿の角を粉末にしたものを用いたが、現在では手に入りにくくなっている。また、その漆器。◇「ろういろ塗り」ともいう。技法は「蝋色仕上げ」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の蝋色塗の言及

【漆工芸】より

…本堅地塗はこの方法をさらに複雑にしたものである。なお,上塗りは花塗(塗立てともいい,研ぎ出さない)と呂色塗(磨きを加える)に大別される。塗りの種類は多く,溜塗(赤い漆の上に透漆をかける),白檀塗(箔または金地の上に透漆をかける)などのほか,春慶塗,赤漆,変塗(かわりぬり)がある。…

【建築装飾】より

…江戸時代にはその手法も多様化し,彩色では繧繝(うんげん)彩色でも従来の平(ひら)彩色のほかに文様の線を胡粉で盛り上げて彩色する置上げ彩色や,立体的な彫刻に対しては全体に漆を塗り,金箔を押してから境をぼかして彩色する生(いけ)彩色などが行われた。漆塗も黒漆や朱漆のほかに,素地が見えるように透明の漆を塗る木地蠟塗,磨いて仕上げる呂色(ろいろ)塗など様々な手法が用いられた。彩色の文様は忍冬(にんどう),宝相華(ほうそうげ),牡丹,蓮華など各種の花や唐草の植物文,雲や波の自然文,花菱,輪違(わちがい)などの有職(ゆうそく)文のほかに,鳳凰,天人,迦陵頻伽(かりようびんが)なども描かれている。…

※「蝋色塗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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